2019年(令和元年)5月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1186 四面
内分泌異常を疑う
“しんどい”はサイン
飯田・鹿児島病院名誉院長が症例報告
「グループで症例を共有し合い一緒に学んでいきたい」と飯田・名誉院長
鹿児島徳洲会病院の飯田信也・名誉院長は、応援先の喜界徳洲会病院(鹿児島県)で、“しんどい” を主訴に来院した70代男性の症例を経験した。貧血や倦怠(けんたい)感があったため、がんの検査を実施したが、診断には至らず、八尾徳洲会総合病院(大阪府)の山本智英顧問(内分泌内科)に相談、内分泌系の疾患を疑った。
そこでコートロシン
TM負荷試験を実施したところ、副腎不全と診断。ヒドロコルチゾン(コートリル
TM、副腎皮質ホルモン剤)を投与したところ、3日目頃から体調が劇的に回復していった。
飯田・名誉院長は「この検査は試薬が必要なので、院内に常備していなければ選択肢がなくなってしまいます。自分の専門外であっても“原因不明”の症例に遭遇した際に内分泌疾患を疑うことも必要です」と強調。喜界病院でも同症例をきっかけに試薬を導入した。
さらに「離島の外来は総合診療が基本なので、幅広くアンテナを張っておかないと病気を見逃してしまう可能性があります。また、幅広く勉強するからと言って、一つひとつが浅くなってもいけません。そのためには徳洲会グループで症例を共有し合い、一緒に学んでいけたら良いと思います」と意欲的だ。
同症例について飯田・名誉院長は、第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で「“すごくしんどい”を主訴に来院し副腎不全と診断した一症例」と題しポスター発表している。