2018年(平成30年)11月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1159 三面
水上・札幌東病院医学研究所部門長
膵がんテーマに講演
日本癌学会学術総会
膵がん前駆病変について講演する水上部門長
札幌東徳洲会病院医学研究所がん研究部の水上裕輔部門長(医師)は9月27日、大阪市内で開催された第77回日本癌学会学術総会の腫瘍別シンポジウムで「膵癌(すいがん)前駆病変の多様性:IPMNにおける遺伝子異常と生物像」をテーマに講演した。今回の講演内容は米国消化器病学会の機関誌『Gastroenterology』に掲載予定。
膵がん前駆病変は膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)や膵上皮内腫瘍性病変(PanIN)などが知られる。水上部門長は頻度が高いIPMNが関連する膵がんについて遺伝子変異の類縁性に基づく分類を解説。IPMNと共通したドライバー遺伝子(がん発生などに関与)変異の膵がんはSequential、異なる変異の膵がんはDe novo、初期は共通し途中から独立した変異を獲得した膵がんはBranch-offだ。
「De novoとBranch-offではKRAS変異のバリアント(多様体)が複数検出され、関心領域以外からのがん発生にも注意を払う必要があることが示唆されます」と指摘。そのうえで、同院など多施設共同で取り組む血液や十二指腸液を用いて遺伝子型を調べ、膵がん発症リスクを調べるリキッドバイオプシーの臨床試験に言及した。同研究所は、がんゲノム医療を見据えた基礎研究にも力を入れ、最近、米国ハーバード大学と共同で行ったGNAS変異が膵腫瘍に及ぼす役割も解説(2018年6月に『Nature Cell Biology』誌に発表)。水上部門長は「患者さんの診療に役立てられるよう、がん研究を継続し成果を出していきたい」と話している。