2018年(平成30年)10月8日 月曜日 徳洲新聞 NO.1154 三面
タンザニア
腎移植の経過報告
日髙・湘南鎌倉総合病院部長
現地医療者を支援
「現地医療者の自信につながったと思います」と日髙部長
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)腎移植内科の日髙寿美部長は「タンザニアにおける腎移植」をテーマに講演した。これまで徳洲会グループは、透析機器を寄贈したり現地医療者を日本に招いて研修を行ったりし、アフリカ各国で透析センターの開設・運営をサポートしてきた。
2016年にはタンザニアで、現地医療者による腎移植実施の支援プロジェクトをスタート。腎移植の実績が豊富な東京女子医科大学の協力を得ながら推進し、タンザニアの首都にあるベンジャミン・ムカパ病院で、今年3月に1例目、8月に2~4例目の腎移植を実施した。日髙部長は腎移植内科医として同プロジェクトを支えてきた。
日髙部長は「徳洲会はこれまでアフリカ15カ国に対し161台の透析機器を寄贈し、19カ国・23チームの透析研修を受け入れてきました。また当院スタッフが指導に訪問したのは9カ国に上ります」などとアフリカへの透析支援の概要を紹介。
続いて、タンザニアでの腎移植プロジェクトの経過に言及。ドドマ大学からの要請を引き受け、腎移植プロジェクトを開始したのが16年。その後、同大学の医師や看護師などが日本で研修を受ける一方、徳洲会と東京女子医大のスタッフが、手術室やICU(集中治療室)の準備、患者選定に必要な検査の指導などのため数回にわたって現地を訪れた。
1例目の実施に向け17年7月に移植候補の選定を開始。最終的に1組のドナー(臓器提供者)とレシピエント(臓器受給者)の候補が残り、1例目の患者さんが決定した。
倫理的な問題がないことや、移植後に拒絶反応が起こらないことを調べるためのリンパ球クロスマッチ検査などで陰性を確認し、タンザニアの保健省職員や弁護士などで構成する委員会から移植実施の許可を得て、3月22日に手術を実施。タンザニアの医療者が取り組んだ初の腎移植となった。レシピエントは50歳代男性で、その40歳代の妹がドナー。
「現地の外科医が血管の吻合(ふんごう)を行うなど実際の移植術を経験できたことは大きな自信につながったと思います」と日髙部長は意義を強調する。それから約5カ月後の8月28日に2例目、29日に3、4例目を実施。
「当初は1~2例を想定していましたが、今回を逃すと数カ月待たなければならなくなるため、ドドマ大学のスタッフは3例目の実施を強く望んでいました。3例とも検査で問題がないことを確認できましたので、免疫抑制剤を投与し、それぞれ手術を行いました」と日髙部長。
いずれの患者さんも腎機能を示すクレアチニン値が安定して推移するなど経過は順調だ。