2018年(平成30年)10月8日 月曜日 徳洲新聞 NO.1154 三面
がん 温熱療法を併用
成定・福岡徳洲会病院センター長
メリット解説
がん治療への温熱療法や高気圧酸素治療の併用を説く成定センター長
福岡徳洲会病院がん集学的治療センターの成定宏之センター長は「福岡徳洲会がん集学的治療センターでのがん治療」と題し講演した。まず自院の状況について説明。4月に開始したがん細胞を高周波で温め死滅させるハイパーサーミア(温熱療法)に、従前の高気圧酸素治療、化学療法、放射線治療を組み合わせ、がん治療を展開。
ハイパーサーミアの生物学的根拠や作用するメカニズムについて、がん細胞は42.5℃以上になると、細胞膜の損傷やタンパク質の変性により、生存率が急速に低下するが、正常な組織は血管が拡張し血流量が増して熱を逃がすため、加温されにくいことなどを説明した。これらの特性をふまえ、ハイパーサーミアには直接的な殺細胞効果のほか、腫瘍内の温度を高温にできれば放射線治療との併用効果を得ることができ、腫瘍内が38~41℃程度になることで、薬剤の細胞内への取り込みを増加させ、同時に熱により、細胞の修復機能が阻害され、抗がん剤の増感効果を得られると強調した。
こうした根拠を示すものとして、ハイパーサーミアの生物学的理論を示すさまざまな論文や、エビデンスレベルIの臨床研究の結果を提示。ハイパーサーミアの単独治療では、頭頚(けい)部がんのリンパ節転移や乳がんの局所再発など表在性腫瘍に効果があり、放射線治療では、とくに照射直後の加温に増感作用があるとアピールした。
化学療法や放射線治療と組み合わせて施行し、実際に改善した症例を提示。がんの種類により差があるものの、さまざまなタイプのがんで効果があると説いた。最後に「温熱療法を既存のがん治療に加えることで、“懐(ふところ)の深い治療”ができる」とし、治療の手立てがなく行き場に困っている患者さんを救える可能性を示唆。「より広く知ってもらえる努力を地道に継続したい」と締めくくった。