徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)10月8日 月曜日 徳洲新聞 NO.1154 一面

回復期リハビリ病棟
奄美群島で唯一開設
徳之島徳洲会病院

徳之島徳洲会病院(鹿児島県)は奄美群島で唯一の回復期リハビリテーション病棟を開設した。同病棟は、脳血管疾患や大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折など急性期の治療を終えた患者さんにリハビリを集中的に実施する病棟を言う。ADL(日常生活動作)の向上を図り、在宅復帰を促進するのが目的だ。同院は島内外から積極的に患者さんを受け入れる方針で、これまで以上に離島医療の充実に貢献していく考えだ。

多職種が在宅復帰をサポート

藤田院長(前列左)、友野総長(同右)、永田副室長(後列右から3人目)と病棟スタッフ 藤田院長(前列左)、友野総長(同右)、永田副室長(後列右から3人目)と病棟スタッフ

同院は医療療養病棟の一部を回復期リハビリ病棟(37床)に転換し3月、4階に開設。一般病棟は120床、医療療養病床は42床という病棟構成となり、急性期から回復期、慢性期、在宅医療までトータルに医療を提供する体制が整った。

回復期リハビリ病棟では医師、看護師、リハビリ専門職、MSW(医療ソーシャルワーカー)、事務職など多職種が、患者さんの在宅復帰・社会復帰を目指しチーム医療を実践。院内の一般病棟から転棟する患者さんや、近隣の医療機関をはじめ鹿児島本土や奄美大島などで手術を受けた患者さんの術後のリハビリなど、島内外から積極的に患者さんを受け入れている。

藤田安彦院長は「以前から入院患者さんのなかには骨折や脳血管疾患など、集中的なリハビリを必要とする患者さんが少なくなかったため、回復期リハビリ病棟を開設しました」と話す。

回復期リハビリ病棟は、スタッフの配置人数や患者さんの重症度、在宅復帰率(自宅や介護施設に退院した割合)などに応じて、3月までは回復期リハビリ病棟入院料1~3までの3区分、4月の診療報酬改定以降は同1~6まで6区分に分類(数字が小さいほど体制が充実)。

開設時点で同院は一番下の3、4月以降は6だったが、9月から3への格上げが実現した。区分3は重症者の割合が2割以上、退院した重症者の3割以上がADL3点以上改善、在宅復帰率7割以上など、高いハードルのクリアが求められ、効果のあるリハビリを実施していたり、より積極的な病棟運営を行ったりしている証しになる。

病棟回診を行う友野総長 病棟回診を行う友野総長

同病棟では多職種参加の下、毎週金曜日に定例カンファレンス(検討会議)を開催。一般病棟からの転棟候補者や入棟の判定、退院調整などを検討している。同院リハビリテーション科の永田聡副室長(言語聴覚士)は「病名やリハビリのオーダー(医師からの処方指示)をもとに該当患者さんをリストアップし、急性期治療が終わる時期を考慮して定例カンファレンスで検討しています」。

また、火、木、土曜日には患者さん本人や家族を交え、入院時や退院前のケアカンファレンスを開催。診療・ケアの方針やリハビリの目標を確認したり、家屋調査の結果をふまえた改修や福祉用具の提案、退院調整などを行ったりしている。

大倉さとみ看護部長は「退院後もご自宅で生活したいという希望を叶えるためには、ADLをアップするリハビリが欠かせません。在宅復帰を強力に支援していきます」と抱負を語る。

回復期リハビリ病棟オープン当初は、徳洲会グループ病院からマンパワーの面で応援を仰いでいたが、9月からは自院のスタッフのみで同病棟へのリハビリ専門職の専従配置6人体制を実現。「当院のスタッフで急性期、回復期、維持期(介護保険)のリハビリをカバーできるようになりました。今後も体制の充実を図りながら、質の向上に努めていきたい」と永田副室長は意気込む。

「もう少し頑張ったら家に帰れそうですね」

機能訓練室でリハビリを実施する安田副主任(手前) 機能訓練室でリハビリを実施する安田副主任(手前)

取材で訪れた9月中旬、病棟は満床だった。37人のうち80歳以上が27人、90歳以上も10人と高齢の患者さんが多い。入院の原因疾患は大腿骨頚部骨折など整形外科疾患が全体の6割と多く、脳血管疾患が3割程で、その他に肺炎治療や外科手術後の廃用症候群などとなっている。自宅内での転倒による骨折が多いという。

この日、病棟回診が行われ、同病棟専任医師の友野範雄総長(外科)、永田副室長、平山沙織看護師らが病室や食堂にいる患者さんに声をかけながら診察。友野総長は気さくな笑顔で「リハビリ頑張ってくださいね」、「ご飯をちゃんと食べていますか」、「痛みはないですか」など気遣った。

他方、理学療法士(PT)の安田伸吾副主任は、大腿骨頚部骨折で入院、術後4日ほどで回復期リハビリ病棟に転棟し、1カ月が経過した90歳代女性患者さんのリハビリを実施。安田副主任が寄り添いながら、患者さんは病室から歩行器で同じフロアにある機能訓練室に移動した。足関節や膝、股(こ)関節などの可動域トレーニングを行い、その後、病棟内で杖歩行訓練を行った。

安田副主任は「だいぶ歩けるようになってきましたね。もう少し頑張ったら家に帰れそうですね」と励ましたり、「足は痛くないですか」など、こまめに声をかけたりし、積極的に患者さんとコミュニケーションを取りながらリハビリに取り組んでいた。

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