徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)9月3日 月曜日 徳洲新聞 NO.1149 四面

離れた空間を瞬時に結ぶ次世代通信
5Gが拓く“未来医療”
離島・へき地医療へ大きな貢献

通信の高速化のみならず、低遅延など新たな特徴をもつ次世代の移動通信システムとして期待が高まっている「5G」。本格的なIoT社会の基盤に不可欠なシステムとして、さまざまな分野から注目されるなか、昨年度、総務省が主導して通信事業者やさまざまな業界の企業などが協力し、多様な実証実験を実施、2020年までの実現に向けた取り組みが本格化している。5Gを活用した医療の可能性はどんなところにあるのか。

5Gは携帯電話やスマートフォンなどの移動端末により通信を行うシステムの第5世代(5th Generation)を指す。移動通信システムでは、より広いサービスエリアをカバーするために複数の基地局を中心とした小さいエリアを面的に敷き詰めていくことで、移動端末が少ない送信電力で基地局との無線通信が行えるようにし、そのエリア間を跨いで端末が移動しても通信が途切れないよう工夫がなされている。

小さいエリアが敷き詰められている状態が細胞(セル)のように見えることから、「セルラーサービス」とも呼ばれ、もともと日本が1979年に世界で初めて商用のセルラーサービスを開始した。

最初のセルラーサービス、すなわち1Gは自動車電話サービスとして誕生し、無線通信方式はアナログ方式で音声サービスのみだったが、90年代に開発された2Gになると無線通信方式はデジタル方式に変わり、メールサービスの利用やデータ通信/インターネット接続なども可能になった。

2000年代の3Gでは、さらに高速なデータ通信が可能になるとともに、無線通信規格が国際標準化され、国内で購入した携帯電話が海外でもそのまま使用できるようになった。このように移動通信システムは約10年ごとに大きく進化してきており、もうすぐ4Gから5Gに世代交代が図られるが、5Gは今まで以上の進化を遂げそうだ。

NTTドコモの5Gイノベーション推進室で5G方式研究グループリーダを務める奥村幸彦担当部長は「5Gの特徴には①高速・大容量、②高信頼・低遅延、③多数の端末との接続――の3つの特徴があります(図1)」と説明する。

①は、最大データ通信速度が4Gの10~20倍を想定。これにより高精細な画像などがリアルタイムかつ同時に複数伝送できる。②の低遅延は、基地局から端末への情報伝送のタイムラグを短縮。4Gの5分の1~10分の1以下程度になることで、機械などの遠隔制御がスムーズに行える。③は、従来の人が持ち歩く移動端末以外にも、車や家電製品など、さまざまな「物」に取り付けられる通信モジュールが100倍近く増え、それらが同時に無線接続可能なネットワークをイメージ。

これらを実現するために、5Gでは従来のセルラーシステムでは使用されていない、より高い周波数を新たに開拓・使用するとともに、「Massive MIMO(マッシブマイモ)」という技術を導入。「従来の基地局の電波が緩い楕円形とするならば、Massive MIMO の電波はエネルギーを集中させた非常に鋭いビーム型で、高い周波数を用いて大量のデータを遠くまで送ることができます」と奥村部長。

5Gをさまざまな分野で活用するために、昨年、総務省の5G総合実証試験もスタート。医療への応用に関する実証試験も行われ、NTTドコモは和歌山県で5Gを用いた遠隔診療に取り組んだ。

同試験は県内山間部の診療所医師が和歌山県立医科大学附属病院の専門医と4Kテレビ電話会議でコミュニケーションを図りながら、4Kカメラによる高精細診断映像などにより遠隔診療を行う内容で、予備試験の段階で同社の本社を診療所に見立てたデモンストレーション(図2)も実施し、その後、実際に和歌山県内での実証試験を行った。

5G遠隔診療の実証試験に参加した医師からは「現行の遠隔外来システムでは外傷の様子がよく見えなかったが、4Kカメラの威力で、間近に患者さんがいる感覚で診察ができた」(皮膚科専門医)、「専門医の先生がすぐそばにいるような感覚で診療所のレベルアップ、若手の育成ツールとしても非常に有効だと思った」(診療所医師)などの声が寄せられたという。

「5Gの高速・大容量通信を生かし複数の高精細な診断映像とテレビ会議映像をリアルタイムに同時伝送することで、隣にいるような感覚で遠隔診療を行っていただくことができ、かつ、より広いエリアで高度な医療の提供が可能なるものと考えられます」と奥村部長。

今後も実証試験を行う予定で、診療所周辺の在宅診療のサポートなども検討している。

「東京五輪で海外の方にも5Gを体験していただくことを目指します」(中山大幸・NTTドコモ第五営業メディカル担当)。

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