徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

奥山 淳(おくやまあつし)(札幌徳洲会病院院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

奥山 淳(おくやまあつし)

札幌徳洲会病院院長

2018年(平成30年)9月3日 月曜日 徳洲新聞 NO.1149

3年前に始めた研修医確保策が奏功
新技術により水平方向へ広がり加速
5カ月連続で月間新入院患者数700人達成

4月、当院は4人の初期研修医と5人の専攻医を迎えることができました。4人も初期研修医が入職したのは、じつに10年ぶりになります。専攻医も含め多くの若手医師が入職したことにより、医局の平均年齢も大幅に下がりました。

多くの初期研修医を確保できたのは3年前に始めた新たな取り組みの成果と思われます。

2015年12月、当時の初期研修医の徐東經(ソウ・トンギョン)先生(現・北海道大学病院形成外科)から「韓国には日本で働きたい医師がたくさんいる」という情報を得て、初めてソウル市内で日本の臨床研修説明会を開催しました。当日は10人が参加し、懇親会で交流を深め手応えを感じました。今年入職した白夏林(ベク・ハリム)先生も、そのうちのひとりです。

2回目の説明会は17年5月に開催しました。32人が参加し、今年入職した宋明哲(ソン・ミョンチョル)先生も参加者です。そして今年5月、当院と仙台徳洲会病院、湘南厚木病院(神奈川県)、鹿児島徳洲会病院で共同開催した3回目の説明会は大変盛況で、72人も集まりました。最近では毎月、韓国から医師や学生の見学者を受け入れています。

新専門医制度が追い風 研修しやすい環境整備

4月にスタートした新専門医制度も当院にとって追い風となりました。当院は新たな専門医制度を念頭に置いた研修医確保にも取り組み、初期研修医から専攻医へスムーズに移行できる環境を前面に打ち出しました。これは当院の外傷センターが日本専門医機構から整形外科領域の基幹施設に認定されたことや、昨年開設したプライマリセンターが総合診療領域に関して同機構認定の基幹施設になったことが大きく寄与しています。

また、昨年から院内に向けて「研修医ファースト」を発信。病院全体で研修医や学生が気持ち良く研修しやすい環境・体制づくりを心がけました。

「韓国」、「新専門医制度」、「研修医ファースト」――。これらの取り組みが功を奏し、若手医師の入職につながったと思われます。

当院は月間の新入院患者数700人以上を目標に各部署で対策を講じてきましたが、過去5年間は年間2回程度しか達成できずにいました。しかし、今年度は4月から5カ月連続で目標を達成。多くの若手医師の加入は、病院に活力をもたらすと同時に経営面でも大きく貢献する形となりました。

8月、訪日外国人数が過去最速のペースで2000万人を突破しました。グローバル化、ボーダーレス化などと言われる昨今、さまざまな国の方々が来日していることをあらためて感じます。

そうした状況をふまえ、今年はさらなる研修医と専攻医確保対策の一環として、米国の総合内科専門医であるシャディア・コンスタンティン先生を招請しました。現在、臨床研修委員会副委員長として英語による研修医レクチャー、国際学会発表や論文執筆のサポート、英会話教室の開催などを担当していただいています。これは海外留学や「国境なき医師団」など開発途上国での活動、外国人の診療に興味のある医師や学生に大きなアピールになると思っています。

「ボトムアップ型」へ移行 信頼感と企画・行動力が要

ボーダーレス化は横への広がりでもあります。組織の経営も、上から全体を管理して細部まで統制する「トップダウン型」から、個々の判断、自律的な動きを尊重して秩序をつくり出す「ボトムアップ型」にシフトしつつあると言われています。わが国の企業・組織は「トップダウン型」と「ボトムアップ型」のバランスが取れて発展してきました。

しかし、バブル崩壊後、成果主義、管理主義的な「トップダウン型」の傾向が強まり、職員の自主性や職員間の助け合いが喪失、官僚主義的傾向が強まり、企業・組織が衰退していきました。最近、スポーツ界で噴出している数々のハラスメント案件も、それを反映しているものと言えるでしょう。これからはブロックチェーン(データの分散管理)など新技術の普及により、ますます水平方向への広がりが加速していくものと思われます。これにともない「ボトムアップ型」への揺り戻しも足を速めていくでしょう。

「ボトムアップ型」の推進力には、組織内の揺るぎない信頼感と一人ひとりの企画力・行動力が不可欠です。

皆で頑張りましょう。

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