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Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)1月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1118 四面

山形徳洲会病院
整外領域でPRP療法開始へ
自然治癒システム活用の再生医療

山形徳洲会病院は整形外科領域でPRP(多血小板血漿(けっしょう))療法を開始する。再生医療のひとつで、患者さん本人の血液から作成した高濃度の血小板を用い組織の再生を促す。対象は主に難治性のけがや腰痛・関節痛などが見られる成人のスポーツ選手や高齢者。すでに同療法を実施するための申請が東北厚生局に受理されており、同院は2月中の開始を目指す。当面は月2回程度「PRP外来」を開設し実施する予定。なお、同療法は保険適用外のため、費用はすべて自費となる。

難治性のけがや腰痛・関節痛など対象

「困っている方のサポートを少しでもしたい」と大沼副院長 「困っている方のサポートを少しでもしたい」と大沼副院長

PRP療法はヒトに本来備わっている自然治癒システムを最大限に活用する治療法。通常、出血したり傷を負ったりすると、血液中の成分である血小板が凝集し、細胞の増殖や分化調整機能などをもつサイトカイン(免疫システム細胞から分泌されるタンパク質で、複数の種類がある)が放出、組織の再生や傷の治癒を促す。

同療法は患者さんから採血した血液を専用の遠心分離機にかけ、血小板を抽出。通常よりも濃縮し、これを患部に用いることで大量のサイトカインが放出され、より高い効果を得ることができる。患者さん自身の血液から作成するため、体内に注入後も拒絶反応などリスクが低いのが特徴だ。もともとは難治性の潰瘍や歯科関連の治療で行われてきたが、最近は形成外科や美容など、さまざまな分野で実施されている。

ただし、2014年に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療法)で同療法も対象となり、現在は施設基準や認定機関の審査などをクリアしなければ実施できない。

山形病院は整形外科領域で同療法を実施。大沼寧・副院長兼整形外科部長が中心となって準備を進めてきた。「整形外科の領域ではスポーツ選手の肉離れや腱(けん)の損傷が対象。米国では、かなり前から臨床応用されています。直近ではメジャーリーガーの田中将大投手が同療法を受けたことで注目を集めました」と、大沼副院長は説明する。

同院には多くのアスリートが来院。なかには、なかなか治らずに悩んでいる患者さんもいることから、「新たな治療の選択肢として、以前から関心がありました。PRP療法を行っている都内の大学病院を見学したこともありました」(大沼副院長)。最近、「採血後にPRPの成分を抽出し患部に注入するまで、より安全に実施できるキットが開発された」ことから、実施を決めた。すでに同療法を実施するための申請を東北厚生局に行い、受理されている。

同院はPRP療法の対象として腱や靭帯(じんたい)の損傷・炎症などを想定している。具体的にはスポーツ選手であれば膝蓋腱(しつがいけん)炎(膝の皿の下あたりが痛む疾患。バスケットボール、サッカーなどジャンプ・ダッシュ・ターンが多い競技によく見られる)、アキレス腱炎、足底腱膜炎(足の裏の腱膜の炎症。マラソンランナーなどによく見られる)など。一般の方であれば高齢者によく見られる肩や膝の関節痛、教職員など長時間立つ仕事に見られる足底筋膜炎などだ。

スポーツ選手でも小中学生は対象外。高校生は「親の同意があれば実施」とするか、対象外にするか検討しているという。また、実施するのはいずれも難治性の疾患。「PRP療法は公的医療保険が適用されないため、費用は全額自己負担となります。したがって、従来の治療で治る疾患は想定していません」(大沼副院長)。

2月中の開始を目指し、当面は月2回程度「PRP外来」(予約制)を開設して施行する予定。

治療の流れは初回に面談を行い、次回の診療予約を行い終了。2回目にPRP療法を実施。20~50㏄を採血し、専用の遠心分離機で濃縮した血小板をエコー(超音波画像診断装置)ガイド下で患部に注入する。3回目以降は来院、もしくは遠方であれば電話などによる再診で経過(2~4週間程度)を見る。改善が見られない場合は、一定期間を経て追加で濃縮した血小板を注入することもある。

「通常の治療法では思うように治らず、悩んでいる患者さんがいます。PRP療法が希望になれば幸いです。海外ではリハビリテーションなども含め従来の治療法よりも治療期間が短くなったケースもあります」と期待を寄せる大沼副院長。

その一方で、「医学的に明らかに有効というエビデンス(科学的根拠)レベルには達しておらず、まだ議論の余地がある治療法でもある」と指摘し、なかには効果が得られない例もあることを示唆した。「患者さんにとって、より良い治療法になるように、地道に着実に取り組んでいきたいと考えています」。

今後、同院は状況を見ながら、ニーズに応じて環境や体制を整備していく方針だ。

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