2018年(平成30年)1月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1117 四面
札幌徳洲会病院外傷センター
札幌から世界標準を発信
10周年記念祝賀会開く
札幌徳洲会病院は道内のホテルで外傷センター設立10周年記念祝賀会を開催した。第一部は講演会で、辻英樹・副院長兼外傷センター部長、上田泰久・外傷センター部長が登壇。第二部は祝賀会で、出席できなかった湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の土田芳彦・外傷センター長(湘南厚木病院外傷センター長兼務)からのビデオメッセージが披露された。136人が参集、同センターの10年間を振り返りった。
1万7000件の手術を実施
「時代に合わせて発展させていきたいと思います」と辻副院長
札幌病院の外傷センターは2007年4月に設立、土田医師が初代センター長を務め、常勤医6人体制でスタートした。主に四肢外傷を取り扱い、急性期整形外科として全道から重度患者さんを受け入れ、後遺症なく社会復帰させるための機能再建に取り組んでいる。
13年に磯貝哲医師が第2代センター長、続いて辻医師が第3代センター長に就任。16年に倉田佳明医師が第4代センター長に就いた。この10年間で、四肢の切断・骨折および骨盤骨折などに対し、約1万7000件の手術を実施。学術活動でも国内外の学会や学術誌で発表を行ってきた。
17年に設立10周年を迎え、11月11日に記念祝賀会を開催。第一部の講演会では、まず上田部長が
「脆弱性骨盤骨折の治療~札幌標準から世界標準へ」と題し講演した。同疾患は軽微な外力で生じる骨盤輪の骨折のことで、同院でも近年、患者さんが増加している。とくに後方骨盤輪の骨折は疑わないと見逃し得ることを指摘した。
「次の10年は論文にも力を入れていきたい」と上田部長
手術適応は骨折型にかかわらず保存治療可能な場合があり、後方骨盤輪が転位(位置が変わること)しているケースは手術適応の可能性があると説明。上田部長は「この10年でわかってきたことがいろいろあります。次の10年では論文として発表し、札幌から世界へ向けて発信していきたいです」と意欲を見せた。
続いて辻副院長が
「重度四肢外傷に対する治療~ここでしかできない世界標準」をテーマに講演。重度四肢外傷にはFix and Flap(骨接合と同時期に皮弁形成術を行う手技)の実践が重要であるとし、重度下腿(かたい)開放骨折の深部感染率がFix and Flapにより50%から4.5%まで下がったことを説明。
辻副院長は「けがをしたという患者さんの運命は変えられませんが、損傷状態を把握し残存機能を最大限に生かすことはできます」と強調。重度四肢外傷を扱う外傷センターに必要な条件として、複雑な骨損傷の再建ができる外傷整形外科医、マイクロサージャリー(鏡視下手術)ができる形成外科医、これらがチームとなって骨・軟部組織再建計画が同時に立てられることなどを挙げた。
辻副院長と上田部長の講演に真剣に耳を傾ける参加者
今後の外傷センターの4本柱として、①重度手部外傷(切断指など)、②重度四肢外傷(Fix and Flap症例)、③骨盤寛骨臼(かんこつきゅう)骨折、④高齢者骨折(内科疾患合併)――を列挙。辻副院長は「できること、やりたいことをやるのではなく、必要なことをやってください」という土田センター長の言葉を紹介して締めくくった。
第二部は場所を移動して祝賀会を開催。最初に同院の奥山淳院長が開会挨拶。「外傷センターの活動が認められ、18年度から始まる新専門医制度で整形外科領域の基幹病院となりました。北海道では5施設のみ、徳洲会グループでは当院のみとなっています」と報告し、「今後ますます加速する高齢社会のなか、皆様のご支援をいただきながら頑張ります」と約束した。
続いて帯広徳洲会病院(北海道)の棟方隆院長が「センターを支えるスタッフ全員の日々の努力があってこその10周年です。今後は全国の徳洲会グループのなかにも外傷センターの考え方が広まると良いと思います」と挨拶。前札幌病院院長の森利光せたな町立国保病院院長は札幌病院の激動の黎明期を振り返りながら、「一瞬一瞬の積み重ねが10周年につながりました。圧倒的な症例と実績をもって、今後もまわりから羨望の目で見られるような外傷センターになることをお祈りしています」と期待を込めた。
祝賀会では土田センター長からのビデオメッセージも
その後、倉田センター長が「今後は若手の外傷医を育てるとともに、国内外で学会や論文発表も積極的に進めていきたいと思います」と挨拶し乾杯。歓談中に外傷センターの10年間を振り返るビデオ上映があり、その流れで土田センター長からのビデオメッセージが流れるサプライズに会場は盛り上がった。
最後に辻副院長が「10年前と今では時代が違いますし、今後も時代の流れに合わせて医療を展開していかなければいけません。まずは20周年に向けて外傷センターをより発展させていきたいと思います」と誓い、祝賀会は盛況のまま閉会した。