2015年(平成27年)12月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1009 三面
鈴木理事長
「粘り強い組織に」
「顧客の心に国境がなくなってきています」とメディカルツーリズムの推進を唱える鈴木理事長
徳洲会医療経営戦略セミナー初日の全体会合で、鈴木隆夫・一般社団法人徳洲会理事長は、グループの運営・経営方針について説明した。
まず、経営目標の達成には①必要な訓練、②資源配分、③全体像の把握④進捗の視覚化、⑤品質管理、⑥結果の確認――が必要とし、このサイクルを繰り返し実行することが重要であると強調した。
次にメディカルツーリズムについて言及し、受け入れ件数・収入高ともに右肩上がりで推移していることを明かした。とくに湘南鎌倉総合病院(神奈川県)がけん引役になっており、中国人など訪日外国人だけでなく、日本在住の外国人が増加傾向にあることも紹介した。
今後はアラブ首長国連邦(UAE)に赴き、徳洲会の医療をピーアールする予定。鈴木理事長は「顧客の心に国境がなくなっています。それに対して、私たちはいかに準備していくかが大切です」と説いた。また、長年にわたるアフリカ諸国に対する透析医療支援により、アフリカ連合(AU)の会議で徳洲会の哲学・理念などをスピーチしてほしいとの依頼も来ている。
徳洲会は目下、ジブチ共和国が推進する病院建設を支援するため、現地の医療従事者を湘南鎌倉病院で受け入れ、研修を実施している。
メディカルツーリズムを強く推し進めるため、欧米やアジアの保険会社との契約や在日大使館などとの折衝も行っている。さらに世界に通用する病院として認知度をアップするため、国際的な医療機能評価のJCI認証の取得を進めている。
現在、湘南鎌倉病院、葉山ハートセンター(神奈川県)がJCIを取得しているが、12月中には南部徳洲会病院(沖縄県)、札幌東徳洲会病院が取得する模様で、今後は中部徳洲会病院(同)、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)などが取得を目指す。
次に、徳洲会の医療の質向上プロジェクの説明があり、とくに電話訪問のメリットについて披露した。
また、湘南藤沢病院の亀井徹正総長から早期警告スコア(NEWS)が予期しない病院内心肺停止(CPA)の減少に寄与しているとの報告があった。同院ではNEWSによりCPA発生リスクが従来の71%に減少、他施設にも同スコアの導入を提案した。
最後に鈴木理事長は経済学者のドラッカーの言葉を引用し、「新しい現実の本質を理解し、受け入れ、応用することで、より粘り強い組織にすることができます」と結んだ。