2015年(平成27年)12月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1009 四面
回顧この1年①
徳洲会 新設・新築移転 続々
急性期から慢性期まで充実
徳洲会グループは病院・介護施設の新設・新築移転に沸いた1年となった。病院は茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県)、武蔵野徳洲会病院(東京都)、生駒市立病院(奈良県)、成田富里徳洲会病院(千葉県)の4病院が新設でオープン。宇治徳洲会病院(京都府)と二日市徳洲会病院(福岡県)の2病院がリニューアルオープンした。介護施設の新設・新築移転も見られ、急性期・回復期・慢性期と多岐にわたり充実を図る様子が目立った。
茅ヶ崎病院は医療の継続を望む地域の声を受け開院
年間4病院以上の新規開設は2005年以来、10年ぶりとなった。5月の茅ヶ崎病院をはじめ、6月に武蔵野病院と生駒病院、9月に成田富里病院が開院。いずれも地域から大きな期待が寄せられるなかで産声を上げた。
とくに茅ヶ崎病院は徳洲会グループ初の関東地方の病院として1980年から2012年9月まで診療を行っていた茅ヶ崎徳洲会総合病院の跡地にオープン。茅ヶ崎総合病院が建物の老朽化により12年10月に隣接する藤沢市内に、新たに湘南藤沢徳洲会病院として開院後も地元からはかつての場所での医療の継続を求める声が寄せられていた。
新病院は132床。一般急性期病院としてのみならず、新たにリハビリテーションを柱のひとつに据え、リハビリテーション室などの充実を図った。医介連携にも注力し、在宅医療も今後、積極的に展開し、地域に貢献していく考えだ。
隣接する老健武蔵野徳洲苑との連携も含め、多様なニーズに対応する武蔵野病院
武蔵野病院(210床)も建設時から何度も病院見学会を開催するなど、地元の関心が高いなかで開院した。多世代がバランス良く暮らす地域特性をふまえ、21診療科をそろえるなど幅広く対応できる体制を敷いている。救急に注力し、ER(救急外来)のすぐ横にCT(コンピュータ断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像診断装置)などを配置。手術室にも専用エレベーターで移動できるようにするなど、迅速な診断・治療が行える環境を整えている。屋上には災害時用のヘリポートも設けた。
循環器分野の診療に必要な設備を同じフロアに集中、移動にともなう患者さんの負担が少ない環境を実現したフロア完結型の循環器センターも特徴のひとつだ。
病院建設を求める市民の署名を背景にできた生駒病院
生駒病院は医療法人徳洲会を指定管理者として開院した210床の病院。約3万件に上る市民の署名運動を背景に誕生した。ニーズが高い救急医療、総合診療、がん医療の三本柱を診療のメインに据えつつ、地元の診療所と連携し市から要望が強い在宅医療にも対応していく意向だ。将来的には、医療機器や病床などを開放し、地域の医師らが検査を直接オーダーしたり、入院設備を利用できたりする仕組みの実現を目指している。
成田富里病院は、地域はもちろん国内外から頼られる病院を目指す
成田富里病院も地元の医師会や住民の方々から、とくに救急医療の充実を望む声を背景に開設。診療スペースの配置に工夫を施し、救急車の到着後、迅速に処置できる体制を築いている。消化器外科を診療の柱のひとつに掲げ、院内に設置している内視鏡外科手術センターでも緊急時に対応できるよう整備。開院以来、全診療科協力の下、フル回転で救急患者さんの受け入れに対応、県外搬送の減少に貢献している。
高性能の医療機器を完備しているのも強みのひとつ。すでに導入している320列CTや1.5テスラMRI以外にも、今後、放射線治療装置など最新の機器を取り入れる構想をもつ。これらの機器や国際空港に近い立地を活用し、海外からの患者さんや人間ドック受診者を積極的に受け入れていく構えだ。
宇治病院はあらゆるニーズに対応可能な体制を整備
リニューアルオープンした宇治病院と二日市病院は、ともに機能の充実・拡大を実現した。宇治病院は5月末に新築移転。一般の方を対象にした内覧会には約1万3000人が参加するなど期待の高さを示した。同院は救命救急センター、地域周産期母子医療センター、京都府がん診療連携病院、地域災害拠点病院の指定を受けており、これらの機能を強化。
救急では屋上にヘリポートを整備したほか、建物の東側低層階にER(救急外来)や手術室、心臓センターや脳血管センターなど各センター、救急総合診療科病棟を集約。ERのスペース拡張や、手術室の大幅な増設も行った。新病院は免震構造を採用するなど防災機能の強化を図ると同時に、多機能化も実現。新たに回復期リハビリテーション病棟、緩和ケア病棟を開設した。
二日市病院前の楠と同様、新病院が地元のシンボルに
二日市病院は13年末に診療を休止し、今年7月に旧病院と同じ場所に新病院を建設。地域で唯一、障がい者病棟をもつ同院はリニューアルオープンを機に常勤で神経内科専門医が入職。より多様な神経難病患者さんに対応できる体制を整えた。今後は在宅医療も手がける方針だ。
病院だけでなく、介護施設の新設・新築移転もあった。新設では新しい宇治病院の敷地内に特別養護老人ホーム「宇治愛の郷」が4月に親病院よりひと足早くオープン。介護施設の役割はもちろん、宇治市と協定を結び、自然災害などで住居を失った際、一般的な避難所では生活が困難な要介護の高齢者・障がい者などを受け入れる「福祉避難所」の機能も合わせもつ。宇治病院の院内には新たに介護老人保健施設「宇治徳洲苑」も併設、治療が必要な方から在宅復帰、終末期の方まで対応できる設備が整っている。
新しい建物には屋上にテラスを設置するなど療養環境が向上したかまくら愛の郷
ポプリ(手前)の建物には保育所が隣接。世代間交流も
新築移転では5月に古河病院(茨城県)内に併設していた小規模多機能型居宅介護事業所「ポプリ」が病院敷地内に移転。平屋建てのため外出や屋外への避難がスムーズにできるようになった。建物内にはスプリンクラーも完備するなど、安全面にも配慮した構造になっている。
9月には特別養護老人ホーム「かまくら愛の郷」(神奈川県)が新築移転。従来の機能に加え、来春には障がい者の就労継続支援A型事業を開始する予定だ。