2015年(平成27年)12月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1009 三面
院長会
新専門医制度を協議
魅力あるプログラム大切
院長会は新専門医制度への対応が中心議題となった。新専門研修プログラムの申請は、診療科によって異なるが、おおむね来年1~2月あたりに締め切ると見られ、徳洲会グループは急ピッチでプログラムを作成。同会では、できる限り多くの専攻医(専門医資格取得を目指す医師)を獲得できるようグループ内連携などについて確認した。
「基幹施設取得を目指してほしい」と篠崎専務
専攻医は基幹施設でしか募集できないため、「新制度への対応に乗り遅れると、従来どおり後進が育成できなくなります」と、一般社団法人徳洲会の篠崎伸明・専務理事(湘南藤沢徳洲会病院院長)は対策の重要性を強調。
グループ内の各診療科の基幹申請予定病院を明示し、現状を報告した。新制度の目玉である総合診療専門研修は、過疎地域の診療所や中小病院が基幹施設となることもできるため、「地域医療に注力してきた徳洲会にとってはチャンス。離島・へき地病院や診療所は基幹施設を目指してください」と発破をかけた。
亀井徹正・湘南藤沢病院総長は内科と総合診療科の専門研修について解説。新制度では人(専攻医)の流れが大きく変わることを指摘した。「従来は大病院の後期研修医が離島・へき地病院に応援研修に入る形でしたが、新制度下の総合診療専門研修では離島・へき地病院を主な研修の場とし、そこから大病院に勉強に赴く形になります」。
内科指導医の更新条件なども注意喚起する亀井総長
こうした流れを構築するには離島・へき地病院が基幹施設である必要があり、亀井総長は今回、基幹施設となることが無理な病院でも今後を見据え、基幹施設の条件のひとつである〝総合診療指導医〟取得を目指すよう訴えた。
また、今改革にともない、すでに取得している専門医や指導医の資格の更新条件も大きく変わる。亀井総長は、内科指導医の資格は内科の教育病院もしくは教育関連病院でないと更新ができないことを注意喚起した。
新専門医制度の救急科担当の宇治徳洲会病院(京都府)の末吉敦院長、関東ブロック外科担当の東京西徳洲会病院の渡部和巨院長らは、仮に基幹施設の認定を受けたとしても魅力あるプログラムを提示しなければ専攻医は集まらないと強調。徳洲会は研修先の離島・へき地病院でもセミナーや研究発表会などを開催しており、勉強の機会があること、多彩な症例が経験できることなどをアピールすべきと主張した。
一般社団法人徳洲会の東上震一・常務理事(岸和田徳洲会病院院長)もこれに賛意を示し、「外部に向けたプロモーションと基幹・連携施設の申請は両輪として進めていくべきです」。亀井総長は、徳洲会のこれまでの離島・へき地研修の内容を示す「離島・へき地医療白書」を制作中であることを明かし、全国の初期臨床研修病院に発送予定であると報告した。
関西ブロック外科担当の名古屋徳洲会総合病院の大橋壯樹総長(心臓血管外科)は、連携病院にも魅力あるプログラムをつくり連携先を増やして専攻医の募集可能人数を引き上げることを提言。関東担当の渡部院長とも協力し徳洲会全体の外科専攻医を増やす考えだ。
連携病院の地理的条件は診療科ごとに異なるが、〝二次医療圏内〟などの縛りが付くと離島・へき地病院での研修は難しくなる。
地域医療の維持のため地理的縛りをできる限り撤廃するよう、徳洲会として日本専門医機構に求めることも決定。