2015年(平成27年)12月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1009 三面
医薬品安全対策
国家プロジェクト進捗
徳洲会協力のMID-NET
「安心・信頼して安全性評価に活用できるシステムに」と宇山室長
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の宇山佳明・医療情報活用推進室長は「電子診療情報を活用した医薬品の安全対策に向けて」をテーマに講演。国家プロジェクトとして2018年度の本格稼働に向けて取り組みを進めている医療情報データベース基盤整備事業(MID-NET(ミッド・ネット))の概要や進捗状況を発表した。
MID-NETは匿名化した大量の医療情報を活用し、薬剤疫学的手法により医薬品などの安全対策を推進するための仕組み。1000万人規模の大規模な医療情報データベースの構築を目指している。現在、全国10拠点・23病院の協力の下、電子カルテデータ、レセプトデータ、DPCデータをもとに、データベースの構築を急いでいる。徳洲会では公益性の高さを鑑み、MID-NETに協力。23病院のうち10病院が徳洲会病院だ。
医薬品の安全対策はこれまで、医療機関や製薬企業からの副作用報告を主な情報源としていた。しかし「医療現場で副作用と認識されなければ報告として上がってこず、医薬品使用患者の母数がわからず発現頻度を把握できないなど限界がありました」(宇山室長)と課題があった。こうしたことから従来の対策に加え、重要施策としてスタートしたのがMID-NETというわけだ。
宇山室長は「MID-NETは国を挙げて取り組んでいる公共性の高いプロジェクトです。成功のカギを握るのは医療機関の協力ですので、徳洲会グループには感謝しています」と表明。「データの品質はかなりいいところまできています。安心・信頼して安全性評価に活用できるシステムにするため取り組んでいきたい」と語った。