徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2015年(平成27年)12月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1009 一面

徳洲会グループ
ダヴィンチ1200例突破
初導入から4年で達成

徳洲会グループで実施した内視鏡下手術支援ロボット「ダヴィンチ」による手術が計1200例を突破した。2011年の宇治徳洲会病院を皮切りに、現在、グループ13病院が導入。200件超の実績をもつ病院から導入間もない病院まで各施設が着実に実績を重ねている。徳洲会グループの「ダヴィンチ懇話会」のまとめ役や泌尿器科部会長を務める湘南藤沢徳洲会病院の吉田利夫副院長は「今後、症例のとりまとめやデータ分析などを行っていきたい」と意欲を見せている。

ダヴィンチによる治療の質向上とデータ集積に意気込む吉田副院長 ダヴィンチによる治療の質向上とデータ集積に意気込む吉田副院長

ダヴィンチを用いた手術は内視鏡カメラや鉗子(かんし)などを装着した4本のアームを、術者が立体映像を見ながら遠隔操作をして行う。

指先に近い感覚で操作できたり、アームの可動域が人間の関節よりも大きいため、従来は不可能だった患部にもアプローチできたりするなど、多様なメリットがある。

精緻(せいち)な操作により、出血量の減少や合併症が起こり得る可能性の低減、手術時間の短縮など、患者さんの負担軽減が期待できる点も大きな特徴だ。2012年4月から前立腺がんの全摘手術が保険適用となっている。

徳洲会グループ ダヴィンチ手術件数

病院名 導入時期 合計症例数
宇治徳洲会病院(京都府) 2011年8月 81
名古屋徳洲会総合病院 2012年1月 205
松原徳洲会病院(大阪府) 2012年3月 91
湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県) 2012年5月 258
湘南鎌倉総合病院(神奈川県) 2012年6月 89
鎌ケ谷総合病院(千葉県) 2012年7月 194
中部徳洲会病院(沖縄県) 2012年8月 124
岸和田徳洲会病院(大阪府) 2013年2月 90
野崎徳洲会病院(同) 2013年4月 7
千葉徳洲会病院 2013年7月 2
吹田徳洲会病院(大阪府) 2015年5月 8
生駒市立病院(奈良県) 2015年5月 2
東京西徳洲会病院 2015年6月 4
全13 施設 合計症例数 1,223

※2015 年11月末時点

徳洲会グループでは現在、13病院が導入。

最も多く手術件数を重ねているのが湘南藤沢病院。12年度に52件を行い、13年度以降は毎月実施。同年9月には100件を超えた。これまで1カ月の平均件数は6.4件、多い月にはその倍にあたる13件を手がけた。

同院以外にも名古屋徳洲会総合病院が200件を達成。追随する鎌ケ谷総合病院をはじめ、そのほかの病院も実績を積み重ねている。生駒市立病院も今年10月下旬に初手術を実施した。

グループの現状について吉田副院長は、「確実に症例は増えています」と強調。その要因のひとつに社会的な背景を挙げる。「前立腺がん患者さんが増加傾向にあることや、周術期の容体が安定するため以前よりも治療法として、手術を選択しやすいことなどがあると考えられます」。

経験をより多く積むことで「技術的な面が安定するため、安全・安心に手術が行えるわけです」と吉田副院長も手応えを口にする。

多様な疾患に活用が期待されるダヴィンチ(写真は岸和田病院) 多様な疾患に活用が期待されるダヴィンチ(写真は岸和田病院)

吉田副院長は今後、公的医療保険の適用範囲が前立腺以外の疾患にも拡大すると予測。「世界的に見るとダヴィンチによる手術は前立腺より婦人科系の疾患が多く、なかには心臓血管外科、耳鼻咽喉(いんこう)科などの領域で活用しているケースもあります。範囲が拡大する流れは想像に難くありません」と説明する。

保険適用の範囲拡大をにらみ、グループの導入病院のなかには院内倫理委員会の承認を経るなどしたうえで、前立腺以外の疾患にダヴィンチを用いる施設もある。昨年1月に名古屋病院が泌尿器領域以外では大腸がん、今年11月に湘南藤沢病院が腎がん部分切除でダヴィンチによる手術を実施した。

「腎がん部分切除術は体内で縫合しなければならないなど、より正確かつ細かな作業が求められるので、ダヴィンチのメリットは大きい」と吉田副院長。今後は懇話会などを通じ「質の向上に努めるとともに、少しずつでも、この膨大なデータをまとめていきたい」と意気軒高だ。

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