徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

整形外科の病気:関節リウマチ

免疫システムの暴走が生じる全身性の疾患

人間の体にはもともと、細菌やウイルスなどの微生物や体内に入ってきた異物などを、自分の体の組織の一部でないことを認識し、攻撃・排除する「免疫系」というシステムが備わっています。この免疫系というシステムは、正常に機能すれば、目に見えない微生物という外敵から体を守るだけでなく、自分の細胞から発生してくるがん細胞の抑制にもかかわるなど、健康な生活を送っていくうえで大切な役割を担っています。

ただ、この免疫システムに異常をきたすことがあります。免疫システムが低下した場合には、細菌やウイルス感染に弱くなるため、健康な人では病気にならないような、弱毒の微生物でも症状を発することになります。一方、免疫システムが過剰反応になる場合もあります。このような場合には、自分の体の組織が「外敵」として認識され、攻撃・排除されてしまい、炎症を起こしてしまうことがあります。このような病気を一般的に自己免疫性疾患と呼びます。
この自己免疫性疾患も大きく2つに分けられます。1つは、身体の特定の部位にだけ、免疫システムの暴走が生じる場合であり、肝炎や腎炎等が代表的な病気になります。もう1つは、全身で免疫システムの暴走が生じて、体のいろいろな部位に炎症が生じるもので、いわゆる膠原病といわれる病気です。

関節リウマチとは、この膠原病と総称される病気の代表的な疾患の一つです。関節リウマチと人類の戦いの歴史は古く、紀元前には「身体を流れる悪い液体が原因の一つ」だと考えられ、ギリシャ語の「リューマ(流れ)」という言葉が病名の語源とされています。
もちろん、現代では病気の原因の解明が進んでいますが、これまで多くの人たちが苦しんできた歴史があり、今もまた多くの人を苦しめている病気です。

サイトカインの過剰分泌が原因か

もちろん、今は「悪い液体が流れる」という概念は完全に否定され、関節リウマチでは、関節の内側を覆っている「滑膜」と呼ばれる組織で、免疫系の細胞が炎症を起こすことによって、だんだんと関節の骨や軟骨(骨の表面でクッションの役割を果たす組織)の破壊が進行していくことが知られています。
さらに最新の研究では、この炎症にはサイトカインと呼ばれる物質が大きく影響していることがわかっています。このサイトカインとは免疫をつかさどる細胞から分泌されるタンパク質で、異物を排除して身体の健康を守る大事な役割を果たすのですが、過剰に分泌された場合には、ひどい炎症を起こしてしまい、これが関節リウマチの患者さんの関節の痛みや腫れという症状につながることが考えられています。

好発年齢は、40歳~60歳の中年期に多く発症し、患者さんの割合では女性が多くを占めます。ただ、もっと若い年齢での発症や老年期になって発症することもあり、成人では誰でも発症する危険性があるといえます。

朝に手のこわばり感が続けば注意

診断にはアメリカリウマチ学会の基準を用いることが多いですが、下記のような症状が現れた場合には、医師の診察や検査を受けることを考えてもよいかもしれません。

  1. 朝に手がこわばる感じがしばらく続く(30分ないし1時間以上)。
  2. いろいろな関節が腫れてくる。場合によっては痛みも伴ってくる。
  3. 片方だけでなく、両方の関節に上記の②のような症状が出てくる。

上記の関節の症状は下肢(股関節や膝関節・足関節)にも現れますが、特に手の症状が早期から出てくることが多いといわれています。なかでも指の先端の関節ではなく、指の付け根の関節に痛みや腫れが出てきた場合には注意が必要です。最終的な診断は、上記の症状や身体所見に加えて、血液検査や画像検査を組み合わせて行います。

血液検査は、従来はリウマチ因子(RF)という項目が重視されていました。今でも、このRFという項目が陽性で関節リウマチを心配される方も多いですが、この項目は陽性でも関節リウマチが否定されることも多いので、全身の炎症の数値を示す項目(CRP等)と合わせて考えなければなりません。最近では抗CCP抗体といわれる項目が関節リウマチの診断に威力を発揮しています。
ただ、今でも各種血液検査の結果のみでは診断がつかないタイプの関節リウマチもありますので、最終的には専門医の診断が必要になります。

画像診断については、昔から手のレントゲン撮影の結果が関節リウマチの進行分類にも使用されてきましたが、レントゲンで変化が生じるのは、炎症がどんどん進んで、骨にまで破壊が及んでからですので、早期診断には向かないといえます。MRI(磁気共鳴画像診断装置)といわれる画像検査では、レントゲンより早く骨の内部の異常所見をとらえることもできるといわれているので、症状によってはこれらの画像検査を行うこともあります。

治療は炎症抑制と変形関節改善の二本立て

炎症がどんどん進むと、周囲の骨や関節を破壊していくことになり、最終的に関節の変形が生じたり、また関節の動きが悪くなったり(拘縮といいます)など、痛みのみならず、日常生活に支障を及ぼす可能性があります。
そのため、治療としては、

  1. 炎症が進むのをできるだけ抑えること、と
  2. すでに炎症が進んで変形した関節を、できるだけ通常の生活が送れるように治療していくこと、

の二本立てとなります。

生物学的製剤で日常生活を送れる人も増加

①の炎症が進むのをできるだけ抑える点では、薬物治療が中心になります。
以前は、血液検査の数値を見ながら、炎症を抑える薬を少しずつ足しながら様子をみていく方法でしたが、現在は先に「ドン」と炎症を抑えこんでしまう薬を使って、少しずつ薬を減らしたり、効果の弱い薬に切り替えていったりする引き算の考え方に変わってきています。

また、前述したサイトカインを直接抑え込む薬剤(生物学的製剤と総称します)もこの10年で大きく進歩を遂げてきています。これらの薬剤により、従来に比べて、治療しながら通常の日常生活を送ることができる患者さんも増えてきています。

ただ、炎症を抑え込むということは言い換えれば自身の持つ免疫系システムの作用を減弱させることです。その意味で、薬による副作用として、骨・関節以外の肺や肝臓・腎臓等の内臓に対する悪影響だけでなく、免疫システムの低下に対する警戒が必要になりますので、定期的な診察が重要です。また、薬のなかには急激に中止すると、危険なものもあります。したがって、薬剤の自己判断での中止は避けて、必ず専門医と相談しながらの薬とのおつき合いが重要です。

変形が強ければ人工関節の入れ替えも

ただ、どんなに早期から適切な薬物治療を行っても、残念ながら関節の変形が徐々に進んでいくことになります。そして、②の変形や拘縮が強くなった関節に対しては、リハビリ治療だけでは効果が不十分なため手術治療が必要になることもあります。

肩関節や肘関節、股関節、膝関節、足関節等の大きな関節では、もとの関節をとり除いて、金属やポリエチレン・セラミックを組み合わせた人工関節に入れ替える方法があります。ただ、手術に至るまでになった変形の程度や骨のもろさ(薬物治療により、骨のもろさが強くなる場合もあります)には個人差が大きいため、人工関節の手術後の動作制限やリハビリ期間はそれぞれ専門医とよく相談し、十分納得したうえで手術を受ける必要があります。

手術治療を受ける際に、もう一つ注意すべき点があります。それは薬物治療により免疫システムが低下している場合には、手術後の感染の危険性が高くなります。特に上述の人工関節の手術で感染が生じた場合には、治療が非常に難しくなることも多いので、手術の後も慎重な経過観察が必要になることは知っておいてください。

今後は内科と整形外科の連携が大切

関節リウマチの治療は生物学的製剤の登場とともに大きく進歩しました。しかし、これは同時に内科的な知識と整形外科的な技術との高度な組み合わせが必要なことも意味します。医療連携がきちんととることができる医師選択も患者さんにとっては重要になってくることでしょう。

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