
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)11月03日 月曜日 徳洲新聞 NO.1516 1面
徳洲会グループ病院が90病院に拡大――。9月29日に医療法人社団晃悠会、11月1日に社会医療法人母恋が徳洲会グループ入りした。両法人の新理事長には大橋壯樹・医療法人徳洲会副理事長(名古屋徳洲会総合病院総長)が就任。晃悠会は、むさしの救急病院(東京都、132床)、ふじみの救急病院(埼玉県、20床)の2病院など4施設、母恋は日鋼記念病院(北海道、348床)、登別記念病院(同、120床)、天使病院(同、260床)の3病院など12施設を展開している。
晃悠会と母恋の両法人の新理事長に就任した大橋・徳洲会副理事長
晃悠会は、2024年2月にむさしの救急病院を新規開設したものの経営上の難局に直面、自力での事業継続は厳しいと判断し、徳洲会グループへの参画を決断した。ふじみの救急病院は有床診療所から始まり、20年10月に病院としてスタート。同12月に埼玉県から救急告示医療機関、22年1月には災害時連携病院、埼玉地域DMAT指定病院の指定を受けた。一方、むさしの救急病院は24年12月に東京都から救急告示医療機関に指定。ハイブリッドER(救急外来)など最新設備を備え、地域の救急医療を担うと同時に、今後は新院長の下、消化器外科などを強化する計画だ。
「地域医療への貢献を一層強化していきます」と、むさしの救急病院の木庭院長(右)と吉岡・事務局長
吉岡康行・晃悠会事務局長は「医療提供の継続、職員の雇用が守られたことに深く感謝しています」としたうえで、「当法人も“断らない救急”を目標にしてきました。徳洲会グループの“生命だけは平等だ”の理念と共鳴するものがあり、今後とも地域医療への貢献を一層強化していきます」と意気込みを見せる。
むさしの救急病院の新院長に就任した木庭雄至院長は「手術再開に不可欠な麻酔科医をグループ病院から派遣していただいたり、スケールメリットを生かした医療機器の効率的な導入が可能だったりと、徳洲会の支援により安定した病院運営が望めます。手術再開を待ち続ける地域の患者さんの信頼に応えていきたいです」と誓う。
徳洲会と母恋は10月21日、日鋼記念病院で記者会見を開いた。母恋が徳洲会入りした背景には同院が立地する室蘭市の人口減少や、医師不足に加え、コロナ禍後の収益悪化がある。同院は市立室蘭総合病院との再編計画があり、官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)から「ガイドライン」を示されていたものの、母恋が再建を目指すには難しい条件だった。
こうした状況のなか、徳洲会が支援を提案。雇用保証を含む条件を提示したことで、母恋は「地域の医療体制の維持」という観点から最善の選択と判断し、徳洲会入りを決めた。会見で有賀正・母恋理事長(当時)は「法人や職員の雇用維持だけではなく、地域の医療体制の維持も実現し、地域の方々にとって一番望ましい選択と考えます」と力を込めた。
東上震一・徳洲会理事長は「室蘭には医療を必要とする人が7万人以上います。医師不足や人口減少を理由に医療をないがしろにする考えはありません。日鋼記念病院は歴史ある病院であり、天使病院も周産期に特化し非常に魅力的。当グループにないものもあり、診療の幅を広げるメリットがあります」と強調した。
徳洲会と母恋の提携は単なる経営統合ではなく「地域医療を守る」、「活性化する」という共通理念が基盤となっており、両法人にとって新たな一歩を踏み出すことになる。晃悠会と母恋の新理事長には大橋・徳洲会副理事長が就任。
10月21日の記者会見で「医師不足や人口減少を理由に医療をないがしろにしません」と東上・徳洲会理事長(右)。左は有賀・母恋理事長(当時)
むさしの救急病院
ふじみの救急病院
日鋼記念病院
登別記念病院
天使病院