
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)09月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1507 1面
宇治徳洲会病院(京都府)は国産の放射線治療装置 「OXRAY」を導入した。2023年11月に保険適用となった医療機器。放射線の照射口と装置の土台を独立して回転させることができ、2軸の回転運動で多様な方向から照射が可能。動くターゲットに対する追尾照射機能も搭載。高い自由度と精度を両立した照射で、より患者さんの負担が少ない治療が期待できる。同院の放射線治療装置は2台目。
放射線治療科のチーム。医師、看護師、医学物理士、診療放射線技師など体制も充実(後列左から4人目が平岡センター長、その左が立入部長、後列右が石原・医学物理士長)
OXRAYは三菱重工業と京都大学の産学連携で開発がスタートし、その後、同社から事業を継承した日立製作所が23年に販売を開始した放射線治療装置。同装置では世界初となるO-リング構造で、放射線の照射口などを内蔵した「照射ヘッド」を360°回転させることができる。さらに装置の土台がターンテーブルになっており、水平方向での旋回が可能。この2軸の回転運動(DSA:Dynamic Swing Arc)により、さまざまな方向から連続的な照射を行うことができる。
また、同装置は多彩なイメージング機器を搭載。さまざまな画像を統合的に解析し、治療中の患者さんの状態を確認したり、呼吸などで動くターゲットを追尾して照射したりすることができる。

導入したOXRAY。装置中央のO-リングと装置の土台が回転する。「インパクトがあり、患者さんに少しでも明るい気持ちになっていただけたら」(石原・医学物理士長)と内装は安土桃山時代の「黄金の茶室」をイメージ
同装置について、平岡眞寛・放射線治療センター長(京都大学名誉教授)は、「2002年から16年ほど私も開発にかかわらせていただきましたが、放射線治療装置の心臓ともいえる加速管の小型化(世界最小)に成功したのが大きい。それによって照射ヘッドにジンバル機構(ぶれや向きを補正する機能)を搭載することができ、非常に強固なO-リング構造でも照射の自由度を下げずに動かせるようになりました」と説明。
「これにより、リアルタイム動体追尾照射、DSAというふたつの革新的な技術が生まれました。いずれも世界初の快挙であり、OXRAYでさらに機能が強化されました。前者は肺がん、肝がん、膵がん、後者は脳腫瘍、頭頸部がん、乳がん、前立腺がんなどへの有用性が示されつつあります」と強調する。
同院は7月1日に1例目を実施。同7日の5例目で世界で初めてDSAと拡大照射を組み合わせた治療を実施した。これまで合計22例行い、すべて経過は順調だ。平岡センター長と同様、開発に携わった経験をもつ石原佳知・医学物理士長兼診療放射線技師長は「治療プランが立てやすくなりました。装置に使用するソフトウェアも新しく、すぐに良いプランにたどり着きます」と笑顔。放射線治療科の立入誠司部長も「守備範囲が広く、既存の装置を含め放射線治療の選択肢が増えると思います。多くの患者さんに還元していきたい」とアピールする。
平岡センター長は、あらためて「OXRAYの機能を活用することで、正常組織の線量の軽減を図る一方、がんへの線量を確保し、治療成績の向上、副作用の軽減、照射時間の短縮などが期待できると思います」と強調する。同院は6月21日に第28回地域医療連携の会を開き、平岡センター長が講演。地域の医師会、歯科医師会関係者が列席するなか、OXRAYを紹介した。