
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)09月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1507 3面
第75回日本病院学会が7月24日から2日間、長崎県で開催され、徳洲会病院から16演題の発表があった。このうち最多は長崎北徳洲会病院の7演題で、医師、薬剤師、看護師、医事課職員など多職種が病院の取り組みをアピールした。
特別講演の座長を務める鬼塚院長
睡眠薬の適正使用に関し発表する堂園薬剤師
宮崎・課長補佐は会議資料のペーパレス化を報告
ポスター発表をした北島副主任(左右)と竹田早苗・看護師長
長崎北病院からは口演が4演題、ポスター発表が3演題。なかでも鬼塚正成院長はふたつの口演に加え特別講演の座長も務めた。口演を中心に紹介する。
鬼塚院長は「家族面談は必要か?(療養型、回復期への転院前、介護施設への転所前)」と題し、療養型病院や介護施設などへの転院・転所の際に求められる家族面談の現状と課題に関する調査内容をもとに報告。
アンケート調査は長崎医療圏および徳洲会グループ内の計73施設から回答を得た。面談の実施状況や目的、代替手段の有無、対応するスタッフの配置など分析。なかでも注目は、すべての施設が一律に面談を行っているわけではなく、「必要な場合にのみ実施している」という施設が少なくない点を挙げた。
面談の主な目的には「家族とのトラブル回避」や「急変時の対応確認」を挙げた一方、面談を行うことで転院が遅れる、家族の負担が増すといった弊害も指摘。代替手段では電話やWEB面談、病院間の密な連携が有効との意見もあり、今後は「ご家族の居住地や状況に応じた柔軟な対応が必要」とまとめた。
もうひとつの演題は「病院祭におけるIT活用でドック受診者増を目指す」。5年ぶりに開催した病院祭で、ITを活用して地域とのつながりを深めようとした取り組みを紹介。従来のチラシやポスターに加え、LINEを用いた広報活動も実施した。
病院祭では、認知機能テスト「CQ test」を行うブースを設置し、来場者577人のうち58人が同テストを受けた。同院では4月から、同テストを活用した脳ドックのオプションを追加しており、地域の方々の健康意識向上に貢献していく構えだ。
ただし、アンケート集計では、LINE登録者からは十分な回答を得られなかった一方、QRコード設置によるGoogleフォームからのアンケートは一定の回収につながったため、「媒体を2種類準備しておいて良かった。病院祭終了後もLINE登録者数が増加していることから、今後も情報発信ツールとして活用を続けます」と方針を示した。
堂園大虎薬剤師は「睡眠薬の適正使用に対する取り組み~フォーミュラリ(使用指針)の導入効果~」と題し発表。高齢者でのベンゾジアゼピン系(BZ系)睡眠薬のリスクと、それに対する対策としてのフォーミュラリ導入の成果を報告。BZ系は高齢者では代謝や排泄の遅れにより、副作用が強く出る可能性が高く、認知機能の低下や転倒、せん妄など深刻な健康リスクがある。厚生労働省も抑制策を講じているが、依然として処方率が高止まりしている現状を受けて、同院では薬剤師主導で睡眠薬の処方指針を設けた。
結果、BZ系薬剤の処方量は37%減少し、さらに夜間の転倒件数も導入前の18カ月の17件から導入後の18カ月では7件に減少。医師との連携や院内での継続的な指導が効果を発揮しており、薬剤師による積極的な介入の重要性を示した。
宮崎剛・医事課長補佐は「会議資料のペーパレス化によるコスト削減とSDGs」と題し発表。院内会議での資料のデジタル化がもたらす経済的・環境的効果を報告した。従来、会議ごとに300ページ超の資料を紙で印刷し、参加者に配布していたが、印刷コストや人件費、環境負荷が問題となっていた。
そこで、資料をPDF化し、クラウド経由でタブレットに配信する体制を整備。結果、2022年5月から24年8月までの間に27万円以上のコスト削減を実現した。マニュアルの整備やアンケートの実施により、運用も定着し、今後は他の会議への展開やタブレットの活用範囲拡大を展望。「端末の不足や操作への不慣れといった課題も残されており、さらなる改善が必要です」と課題を挙げた。
ポスター発表では、樋口香織・看護師長が「身体拘束のうち転倒転落防止ベルトをしている患者の特徴と看護師の心理的要因」、小林久美・看護副主任が「看護補助者へのタスクシフト~入院時オリエンテーションの実施~」、北島葵・看護副主任が「身体的拘束最小化への取り組み~身体的拘束解除フローの作成と活用~」をテーマに取り組みを紹介した。
最後に、鬼塚院長は今回の学会を振り返り、「全国学会で発表し、質疑応答することで、発表した内容に深みが出てきます。とくに日本病院学会は多職種が集まるため、違う職種の人から質問を受け、その後、名刺交換をして新たな付き合いが始まることがあります。当院から参加した職員は、来年の第76回大会にも演題を出すべく準備を始めています」と総括した。