徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)06月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1393 1面

徳洲会研修委員会
プロジェクト「徳洲総診」始動
総合診療医をグループ全体で育成

一般社団法人徳洲会(社徳)研修委員会は徳洲会総合診療医育成プロジェクト「徳洲総診」を3月に開始した。コロナ禍で社会的に総合診療医のニーズが高まったことを受け、教育体制を強化するのが狙い。総合診療専門研修プログラムを実施している徳洲会病院を後方支援し、各病院のプログラムが円滑に進むよう促す。2026年までにグループ全体で総合診療専攻医20人の育成を目指す。

「総合診療医の育成は徳洲会の理念の浸透につながります」と平島副院長

総合診療専門研修プログラムは、臓器や疾患を問わず全人的に患者さんを診ることができる“総合診療専門医”を養成するための教育プログラム。専門医制度は基本領域とサブスペシャリティ領域からなり、総合診療は、2018年4月にスタートした新専門医制度の基本領域に加わった。プログラムでは地域の中小病院などで外来、訪問診療などを行う総合診療専門研修と、内科、小児科、救急科で行う必須領域別研修を定めている。

現在、徳洲会グループでは30病院が同プログラム(定員62人)を実施しており、18年以降17人(今年度は3人)の専攻医が登録。

5月にオンライン開催した説明会の様子

徳洲総診は、総合診療専門医の育成を加速させるためのもの。同プロジェクト代表を徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター長の平島修・名瀬徳洲会病院(鹿児島県)副院長、事務局を社徳医師人事部が務める。コアメンバーには湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の熊谷知博・総合診療科医長や湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の北川泉副院長らも名を連ねている。

活動内容は、日々の診療をはじめポートフォリオ(経験と省察のプロセスをファイリングした研修記録)や研修手帳(専攻医が経験した症例数や手技、活動内容を登録し指導医が評価を付けるシステム)に関するサポート、勉強会の企画・運営、専攻医のリクルート活動、他の病院から専攻医の電子カルテを見られるようにする──といったインフラ整備など。

徳洲総診の詳細や説明会の申し込みはここから

とくに①専門性が高い症例に対して自院に専門医が不在の場合、他院の専門医につなげるなどして、専攻医の不安解消を図る、②専攻医がポートフォリオを作成する際にアドバイスや添削をする、③記録漏れがないかチェックする、④平島副院長をはじめ徳洲会グループの医師が専攻医に対して指導を行う──などに力点を置く。

また緊急症例に対する現地の指導医へのサポートや指導経験がない指導医のフォローなども、他の病院の指導医や事務局が行い、指導医の負担・不安の軽減につなげる。氏家麻里奈・社徳医師人事部副主任は「徳洲総診は、各病院のプログラム内容には介入せず、あくまでも円滑にプログラムを進めるためのもの。専攻医・指導医に専門研修プログラムへの理解を促し、抜けや漏れがなく修了要件を満たせるようにサポートします」。平島副院長も「どこの病院のプログラムでも、全国の徳洲会グループの医師から指導を受けることができ、より実践的な力が身に付きます」と期待する。

日々の診療に関するサポートなどは、すでに開始しており、今後は各病院の総合診療プログラム責任者や専攻医、指導医を集めての定期ミーティングを開催予定。

プロジェクトのきっかけは、コロナ禍で社会的に総合診療医のニーズが高まったからだ。総合診療医を目指す医師の増加や育成の必要性を指摘する声が医療界内外から聞かれるが、新しい専門医資格だけに徳洲会グループ内でも育成や確保に関する環境整備が急務となっていた。

平島副院長は「病院単独ではなくグループ全体で総合診療医の育成体制が整っていることは、専攻医にとっても魅力に感じると思います。指導医も不安や負担が軽減され、指導により注力できるようになると考えます」と指摘。続けて、「もともと徳洲会グループが力を入れている離島・へき地病院では総合診療医が活躍しており、総合診療医の育成は徳洲会の理念の浸透にもつながります」と強調する。

徳洲会では育成した総合診療医がひとりでも多く離島・へき地病院に勤務し、これら地域の医療が充実することを期待している。氏家副主任は「26年にグループ全体で20人の総合診療専攻医を育成すること目指します」と意欲を見せる。事務局では、毎月最終火曜日に説明会をオンラインで開催している。

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