徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)04月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1539 2面

病気のはなし217
サイレントパンデミック
薬剤耐性菌

抗生物質など抗菌薬を適切に飲みきらないことで、薬に耐性がついた薬剤耐性(AMR)菌が世界的に問題となっている。AMRは一種類の感染症に限定されないことから、数値として現れにくく、サイレントパンデミック(静かなる世界的流行)とも言われる。2050年には全世界でAMR関連死者数が年間1,000万人に上るという試算もあり、厚生労働省は抗菌薬の適正使用を啓発。新型コロナ感染症の23年時点での世界累積死者数が688万人であることから、AMRは世界的な脅威と言っても過言ではない。

厚労省が3月に出した『薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2025』によると、日本ではAMR対策を取ってきた結果、おおむね耐性率は低下してきているが、一部で依然、耐性率が他国より高い水準だ。

耐性菌の治療には、さらに強い抗菌薬を使う必要があるが、なかには複数の抗菌薬に耐性をもつ多剤耐性菌も出ており、さらに昨今、新たな抗菌薬の開発が進まなくなってきていることから、将来的には、どの抗菌薬も効かない感染症が人類の脅威となる可能性も指摘されている。

日本は国民皆保険のため、薬が安価に入手でき、耐性菌がつくられやすい土壌がある。そもそも自然回復する感染症には抗菌薬を使わないことが大切だが、抗菌薬を一度飲み始めたら、症状が改善しても、きっちり処方された量を最後まで適切に飲みきることが重要だ。

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