
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)04月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1539 3面
徳洲会集中治療科部会は3月6日、横浜市で日本集中治療医学会学術集会に合わせ、第7回総会を開催した。グループ病院の集中治療科や救急科、麻酔科などの医師20人が出席した。総会では副部会長の交代を発表し、新執行部体制への移行が決定。JIPAD(日本集中治療医学会の患者データベース)への対応や専門医制度について意見交換・情報共有を図った。同学術集会では徳洲会グループから合計49演題の発表があった。
「個々の病院のICUをグループ全体で支え合ってほしい」と丸川顧問
「『徳洲会に合った集中治療』を」と江田センター長
「グループ全体の底上げにも取り組んでいきたい」と小山副院長
集中治療の質向上を通じて社会貢献へ(部会の様子)
同部会は2023年3月に発足。徳洲会の集中治療部門スタッフなどで構成し、徳洲会の理念の下、診療、学術活動、人材育成・確保、情報共有、業務体制の整備などに関してグループ病院への支援を行うのが活動目的。集中治療の質向上を通じた社会貢献の推進を掲げている。
副部会長の福井道彦・宇治徳洲会病院(京都府)集中治療科顧問が司会を務め、部会長の丸川征四郎・吹田徳洲会病院(大阪府)顧問(集中治療センター医師)の開会挨拶で総会をスタート。はじめに参加各施設がICU(集中治療室)の運用状況など近況報告を行った。
続いて役員人事の発表があり、新副部会長を選任。新たに副部会長に就任したのは江田陽一・福岡徳洲会病院集中治療センター長と、小山洋史・湘南鎌倉総合病院(神奈川県)副院長兼集中治療科部長。小山副院長はこれまで研修委員会を担当。
部会発足以来、副部会長を務めてきた福井顧問と、野村岳志・医療法人徳洲会周術期医療地域支援室長のふたりが、バトンを渡した。
挨拶に立った江田センター長は「他施設のまねをするのではなく、徳洲会には『徳洲会に合った集中治療』というものがあると思っています。都市部から離島・へき地まで環境の異なるさまざまな地域の病院に、どうフィットさせ、質の高い集中治療を実践するかが重要だと考えています」と思いを語った。
小山副院長は「徳洲会の集中治療がさらに良くなれば、日本の医療が良くなると思っています。ハイエンド(最上位・最上級)を求めることが大切ですが、部会として横の連携を強め、スケールメリットを生かしてグループ全体の底上げにも取り組んでいきたい」と所信を表明。
この後、委員会報告として、JIPAD委員会を担当する公文啓二・吹田病院副院長兼集中治療センター長が登壇。JIPADは集中治療の質向上のため、日本集中治療医学会が主体となって実施している患者データベース。公文副院長はJIPADの全施設の合計登録症例数や参加施設の状況などを紹介し、データ登録に関する実務上の課題などについて意見交換を行った。
最後に野村室長が集中治療科専門医制度について説明。同専門医に関しては、学会認定から機構認定(日本専門医機構)へと移行予定であることから、制度変更の見とおしなどを示し、情報共有を図った。
丸川顧問は「個々の病院のICUをグループ全体で支え合い、横の連携強化による人材交流・情報共有の活発化や、中身の充実を図りながら、質向上の推進などを期待しています」と新執行部にエールを送った。
大勢の医療関係者が詰めかけた日本集中治療医学会学術集会
学術集会はパシフィコ横浜を会場に開催
日本集中治療医学会学術集会ではシンポジウムやパネルディスカッション、特別企画、優秀セッション、口演、ポスターなど多彩なセッションで、徳洲会グループから計49演題の発表があった。一部を紹介する。
「優秀セッション:研修医部門」では、湘南鎌倉病院の藤村佳菜研修医(当時)が「バソプレシンの持続静注を中止した後に尿崩症を発症した患者の臨床的特徴:記述研究」と題した演題で、優秀賞を受賞した。
公文副院長は「集中治療は一生の生業となり得るか? シニア集中治療医のキャリアを探る」をテーマとするパネルディスカッションに登壇。1975年3月の大学卒業以来、約半世紀にわたるキャリアや、現在の勤務状況などを紹介し、「2016年、66歳で定年退職後、現病院に入職し76歳の現在まで10年間、集中治療医を生業としています。今後も継続予定です。私のキャリアと現状からは、集中治療は一生の生業になりえることを明言します」とまとめた。
「ARDSの多様性に挑む:フェノタイプから読み解く最適治療」をテーマとするシンポジウムでは、八尾徳洲会総合病院(大阪府)の山田知樹・集中治療科医師が「画像によるrecruitability評価は妥当? -その肺本当に広がる? focalとnon-focalというフェノタイプのはざま-」と題して発表。ARDS(急性呼吸窮迫症候群)は重症肺炎や敗血症、外傷などを原因として肺に体液が貯留し、重度の呼吸不全を引き起こす症候群を指す。
ARDSに対する治療や人工呼吸管理は、focal(局所性)とnon-focal(びまん性)という画像分類・所見に基づき、recruitability(虚脱した肺の拡張の可能性)を評価する個別化の時代を迎えている。
一方で、focalとnon-focalは明確に二分されるものではなく、グラデーションをともなうものであることをふまえ、山田医師はCT画像によるrecruitability評価の妥当性を調べるため、ベッドサイドでのrecruitability評価の指標であるR/IレシオとNMDを用いて検討した。
山田医師は「先行研究ではnon-focalパターンはhigh-recruiterと報告されていましたが、今回のわれわれのR/IレシオとNMDを用いたrecruitability評価では、non-focalパターンのうちhigh-recruiterは5割に過ぎませんでした」と結び、画像分類とベッドサイドでの評価を組み合わせることの重要性を示唆した。
札幌東徳洲会病院リハビリテーションセンターの佐藤祐介主任(理学療法士)は「Post ICU(リハビリ)」をテーマとする口演のセッションで、「集中治療を要した急性非代償性心不全患者の貧血と推定血漿量・栄養指導が退院時歩行自立度に及ぼす影響」と題して発表。
心不全患者さんの貧血の合併は、生命予後を規定する因子のひとつとされるが、貧血と退院時までの移動能力に着目した報告は少ない。そこで佐藤主任は、貧血と貧血に関連した指標が、退院時の歩行自立に関連があるかを後方視的観察研究によって検討。各種因子を解析した結果、「『病前活動レベル』は歩行自立に関連を示した一方で、『うっ血』との関連も示され、とくに低活動群では、入院前からの『うっ血』による希釈性の貧血が示唆され、標準的リハビリテーションの阻害因子となり得ました」と締めくくった。