2021年(令和3年)4月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1282 二面
病気のはなし㊺
症状収まっても再発しやすい 潰瘍性大腸炎
安倍晋三前首相が罹患(りかん)していることで一躍有名となった潰瘍性大腸炎。大腸の粘膜に炎症が起きる指定難病で、炎症の場所や程度によって症状が大きく変わる。初期には腹痛や、わずかな下血が見られるのみで、痔と間違われることも多く、なかには無症状の場合もある。しかし症状があまりなくても、ひそかに炎症は進行し、重症化すると腹痛や下痢、下血などの症状だけでなく、大腸に穴が開いたり、炎症が原因でがん化したりすることもある。「症状がないように見えても実際には炎症が残っていることがあり、炎症のコントロールが大切です」と札幌東徳洲会病院の前本篤男・副院長兼炎症性腸疾患(IBD)センター長。
難治で再発しやすい疾患だが、薬剤によるコントロールは可能だ。ただ、一度ひどくただれた大腸は、元の状態に戻るまで長ければ10年もかかることがあり、薬で症状が収まって見えても、その間は再発しやすい。
「症状が収まっても、自己判断で薬を止めてしまうと、すぐに再発してしまうことがあります」と前本センター長。いずれにしても治療は長期に及び、疾患を理解したうえで付き合っていく気持ちが必要だ。早期発見すれば、大腸にダメージが少なく、その後の治療も楽になるため、「おなかを下しやすい人などは、一度、内視鏡検査を受けてみてください」(前本センター長)。