徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)3月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1279 三面

湘南藤沢病院
振戦改善でなく消失を
MRgFUSテーマにWEB講演

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の伊藤恒・神経内科部長は3月3日、「MRガイド下集束超音波療法(MRgFUS)」をテーマにWEB講演を実施した。全国の医療従事者など60人超にMRgFUSの治療効果や最新情報などを解説した。

「一例一例を丁寧に」と伊藤部長「一例一例を丁寧に」と伊藤部長
治療効果や有害事象を確認しながら治療を進める治療効果や有害事象を確認しながら治療を進める

MRgFUSはMRI(磁気共鳴画像診断装置)でターゲットの位置を、MRIサーモグラフィーでターゲットの温度をそれぞれリアルタイムにモニターしながら、900~1,000本の超音波を一点に集束することでアブレーション(焼灼(しょうしゃく))を行う治療法。以前は3泊4日で実施していたが、スタッフが習熟し治療時間が短くなったため、3日目に退院する患者さんが増えたことを明かした。

治療では、神経症状の改善状況や有害事象の発現状況を確認しながら、段階的に照射エネルギーを上げ、ターゲットの温度が54℃を超えてくると、治療効果が表れると強調。また、低侵襲で施行できるメリットにも触れた。

次に有害事象では、治療中の嘔吐(おうと)で誤嚥(ごえん)や窒息を防ぐため、事前に吸引の準備をしているほか、パーキンソン病患者さんに同治療を実施する際、一過性の運動緩慢や歩行障害が生じるリスクに備えていることなどを説明した。

昨年スタートした対側治療にも言及。本態性振戦の患者さんには、一側だけを治療しても必ずしも満足していないというデータを示し、振戦の「改善」ではなく「消失」を目指す必要があると強調。現在、対側治療については保険診療外のため、保険診療となるよう関係者が努力している現状を語った。

さらに、実際に治療した症例を数例示し、対象患者さんを選ぶ際の注意点や長期的な治療成績などを解説。最後に「まだ新しい治療技術なので、長期的な観察と症例の蓄積が大切になります。引き続き一例一例を丁寧に実施していきたいです」と結んだ。

PAGE TOP

PAGE TOP