徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)3月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1279 四面

武蔵野病院
無痛乳がん検診をスタート
MRI活用しスクリーニング

武蔵野徳洲会病院(東京都)は〝無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)〟を開始した。MRI(磁気共鳴画像診断)を用いた乳がんのスクリーニング(ふるい分け)検査で、マンモグラフィ(乳房X線検査)のように乳房を圧迫する必要がないため、痛みをともなわず、検査着やTシャツを着たまま検査できるなど、より負担が少ないのが特徴。3月17日時点で全国24施設が実施。徳洲会グループでは武蔵野病院のほか、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)が2019年8月から取り組んでおり、3月下旬には茅ヶ崎徳洲会病院(同)も開始する予定だ。

高濃度乳腺の影響受けず

「乳がんの早期発見に貢献したい」と濱野技師長(右)、西原・診療放射線技師「乳がんの早期発見に貢献したい」と濱野技師長(右)、西原・診療放射線技師

無痛MRI乳がん検診は、病変を高精度に描出する拡散強調画像(DWI)というMRIの撮影法を改良したDWIBS(ドゥイブス)という撮影法で行う。

武蔵野病院放射線科の濱野浩二技師長(診療放射線技師)は「当院は15年6月の開院時より、精密な画像で微細ながんの発見も可能な3Dマンモグラフィ〝トモシンセシス〟などを用い、乳がんの早期発見に努めてきました。そして今回、MRIを有効利用しながら、被検者さんにメリットのある新たな乳がん検査を提供したいと考え、無痛MRI乳がん検診をスタートしました」と説明する。

被検者は、2つの穴が開いた乳房専用のコイル(画像描出に必要な信号の受信器)を置いたMRIのベッドにうつぶせになって検査を受ける。検査が始まると、足のほうからMRIのドーナツ型のガントリ内に進んでいく。検査時間は15~20分ほどだ。

被検者は、うつぶせになって検査被検者は、うつぶせになって検査

同院の西原直人・診療放射線技師は「無痛MRI乳がん検診は、マンモグラフィのように乳房を圧迫することがないため、痛みのない検査が可能です。また、検査着やTシャツを着用したままでも検査を受けることができます。ただし、下着や肌にぴったりとフィットするような衣類は着用できません。うつぶせになった時に、乳房が自然と下垂した状態で撮影する必要があるためです」と説明する。

加えてこの検査は、欧米に比べて日本人に多いとされるデンスブレスト(高濃度乳腺)の影響を受けにくいことも特徴だ。乳房は乳腺組織と脂肪組織で構成されており、乳腺組織が多いタイプをデンスブレストと呼ぶ。このタイプは、マンモグラフィ検査では乳房全体が白っぽく写り、病変を探すのが難しいケースがある。そのような場合にはエコー(超音波)検査を併用するが、無痛MRI乳がん検診ではデンスブレストの影響をほとんど受けず、病変の描出が可能だという。

無痛MRI乳がん検診は04年にDWIBS法を考案した東海大学工学部医用生体工学科の高原太郎教授が代表を務めるドゥイブス・サーチ社による精密なMRIの調整(チューニング)や、徹底した精度管理の下で実施。同検査を実施する医療機関は撮影データを同社に送付。高原教授をはじめとする複数の医師が読影を行い、医療機関にフィードバックするという流れだ。同院は15年の開院時に導入した1・5テスラのGE社製MRIをチューニングして同検査を行っている。

同じ被検者を撮影した無痛MRI乳がん検診(左)と造影MRIの画像。疑わしい箇所の発見に同等に寄与(画像提供:ドゥイブス・サーチ社)同じ被検者を撮影した無痛MRI乳がん検診(左)と造影MRIの画像。疑わしい箇所の発見に同等に寄与(画像提供:ドゥイブス・サーチ社)

ドゥイブス・サーチ社によると、無痛MRI乳がん検診による1000人当たりのがん発見率は14・7人。被検者の背景が異なるため直接比較することは難しいものの、海外の研究報告では、マンモグラフィのみは2・7人、マンモグラフィ+超音波検査は7・7人、造影MRIは14・9人で、造影MRI並みのがん発見率を示す。

同院は3月1日に開始し、17日時点で未実施の予約分を含め30代から50代まで21人が受診。滑り出しは順調だ。マンモグラフィだけでなく無痛MRI乳がん検診に関しても、女性の診療放射線技師が対応するなど配慮している。

実際に検査を受けた方からは「痛みがなく良かったです。音以外は検査時間も気にならなかったです。マンモグラフィは痛いのが怖く検査を受けられないと言っている友人もいるので、ぜひすすめたい」、「うまくリラックスできず心配でしたが、スタッフの方の対応が優しくて安心しました。ありがとうございました」と好評だ。

今後、WEB医療講演などにより積極的にピーアールし、乳がんの早期発見を通じ地域の方々の健康管理にいっそう貢献していく考えだ。

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