2021年(令和3年)3月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1279 一面
徳洲会グループ
新規の標準パス作成 大腿骨近位部骨折など3種
徳洲会グループは医療の質向上の一環として、2017年度から「徳洲会グループ標準クリニカルパス」を作成し、希望施設への導入支援などを行うプロジェクトを推進している。クリニカルパスとは、エビデンス(科学的根拠)に基づく標準化した診療計画を言う。同プロジェクトではBI(経営管理)ツールから各病院の治療・コストなどデータも比較できるようにしている。またバリアンス(標準からの逸脱)の分析を通じた継続的な改善なども活動目標だ。
第1弾として18年5月に4つの標準パスを作成。今年2月には新たに大腿骨(だいたいこつ)近位部骨折、尿路感染症、白内障の3つのパスを作成した。パス作成の基準は①徳洲会グループ病院で診療実績の多い疾患、②離島・へき地病院でニーズがある──が目安だ。
プロジェクトチームのリーダーである岸和田徳洲会病院(大阪府)の新田康晴・内科医師と、コアメンバーである湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の田畑梨紗・看護主任は「クリニカルパスは良質な標準治療を効率よく実践し、現場の負担やコストの軽減に資するツールです。徳洲会の標準パスは画一的な診療計画ではなく、各病院の特色に応じ運用できるフレキシブルパスとして作成しています。同一の疾患や手技でも、たとえば入院期間を複数パターン用意するなど、徳洲会グループならではの地域性に対応でき、年齢や基礎疾患から生じる治療の個別性に応えることができます。導入・運用方法など不明な点はコアメンバーがいつでも相談に乗ります」と強調、積極的な活用を呼びかけている。
同プロジェクト事務局を務める一般社団法人徳洲会医療安全・質管理部の西平健太・課長補佐は「標準パス以外にも各病院では各々作成したパスを運用しています。それらも含めたパス適用率は年々上昇し、高い施設では60%程度に上ります」と説明。パスの運用データを分析しブラッシュアップすることや、パスを活用する文化の定着が今後の目標だ。