2021年(令和3年)1月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1269 四面
井上・岸和田病院副院長
医療格差をなくすため全国に赴き内視鏡診療
岸和田徳洲会病院(大阪府)消化器内科は離島・へき地を中心に全国のグループ病院に対する内視鏡診療の応援に力を入れている。約30人の医師で毎月延べ220日(実施人数×日数)にも及ぶ応援を実施。12月2日には帯広徳洲会病院(北海道)に井上太郎副院長と星川聖人医師が赴き、消化器がん6件のESD(内視鏡的粘膜下層剝離(はくり)術)を施行した。
難症例含むESDなど施行
大腸ESDを施行する井上副院長(中央)。その左が星川医師
井上副院長は全国を飛び回り、月に7~8回グループ病院を訪れ治療に尽力している。「クオリティの高い内視鏡治療を届け、医療格差をなくすよう全国の徳洲会病院と連携し、患者さんを動かすのではなく当院の医師が各地に赴き診療を行っています」と応援診療にかける思いを語る。
星川医師は帯広市出身。これが縁で約2年半前に帯広病院への応援診療を開始した。星川医師は毎月1回、内視鏡検査を行うために同院を訪問。また今回のように年に数回、井上副院長と共にESDを施行するため訪れている。2020年12月末までに胃39例、食道6例、大腸7例の計52例施行。治療に加え上下部内視鏡検査やERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管(すいかん)造影)なども精力的に行っている。
この日は食道がん1件、胃がん2件、大腸がん3件にESDを施行。ESDは、がん細胞の浸潤が粘膜下層にとどまる早期の消化器がんを、電気メスで内視鏡的に切除する手技。6例目に井上副院長が施行した直腸の症例は、病変の位置が肛門に近く、腫瘍の深達度が深い難症例。筋層を傷つけないよう慎重に粘膜下層を剝離した。
同院の棟方隆院長は「岸和田病院の応援により、トップレベルの診療を地域の方々に提供できることをうれしく思います」と笑みを浮かべる。星川医師は「帯広病院は優秀なスタッフが多く、岸和田病院と比べても遜色(そんしょく)ないクオリティでESDが可能です。これからも患者さんに満足度の高い治療を提供していきたい」と意欲的だ。