徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)10月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1259 四面

永田・湘南藤沢病院部長
胃ESDの時間短縮

『Surgical Endoscopy』に原著論文

「胃ESDが海外でも普及すると良いと思います」と永田部長「胃ESDが海外でも普及すると良いと思います」と永田部長

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の永田充・内視鏡内科部長の胃ESD(内視鏡的粘膜下層剝離(はくり)術)でのS-Oクリップの有用性をテーマにした原著論文が『Surgical Endoscopy』(米国消化器内視鏡外科学会および欧州内視鏡外科学会の公式ジャーナル)2020年8月号に掲載された。

S-Oクリップは、大腸ESDの視野確保と手技時間短縮を目的に粘膜を把持するデバイス(器具)として開発、論文では同デバイスの胃ESDでの使用法を初めて標準化した。胃ESDは内視鏡を胃に挿入した後、患部を見上げて施術することが多いが、この場合S-Oクリップが内視鏡に干渉してしまう。そこで永田部長は内視鏡の動きを計算、胃壁に対し垂直方向にS-Oクリップを引っかけ、内視鏡と干渉しない方法を詳しく説明した。

さらに同院で実施したS-Oクリップ使用群と従来法群の症例を、プロペンシティスコアマッチング分析という統計学的手法を用い比較した。結果、胃ESDの施行時間は69分(従来法群)から40分(S-Oクリップ使用群)に約40%の短縮。S-Oクリップの装着に要した時間も平均2.08分と、他施設からの報告(平均4.4分)よりも半分以下に短くなった。

論文掲載にあたり永田部長は「胃ESDは低侵襲で患者さんに有用な治療法ですが、海外ではいまだ普及していません。今回報告した方法は手技の難易度を下げるため、海外での普及に役立てば良いと思います」と展望している。

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