徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)3月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1226 四面

読み解く・読み得“紙上医療講演”㉜
肺炎球菌から身を守る

今回は「肺炎球菌(肺炎連鎖球菌)ワクチン」がテーマ。肺炎とは、肺の組織が細菌やウイルスなどに感染し炎症を起こす病気。主な症状は発熱やせき、たん、息切れなど風邪と似ていますが、症状が長引き、重くなるのが特徴です。世間では新型コロナウイルス感染による肺炎が話題ですが、肺炎の原因には他にもさまざまあります。今回は、そのなかのひとつである肺炎球菌感染の予防について、沖永良部徳洲会病院(鹿児島県)の藤崎秀明・内科部長が解説します。

藤崎秀明・内科部長 沖永良部徳洲会病院(鹿児島県)藤崎秀明・内科部長
沖永良部徳洲会病院(鹿児島県)

肺炎の年齢階級別の死亡率は、厚生労働省の人口動態統計(2015年)によると65歳以上が約95%を占めます。肺炎は高齢者にとって命にかかわる病気です。

高齢者が肺炎になりやすい原因として、①食べ物やつばを飲み込む機能が低下して口内の細菌が肺に入る(誤嚥(ごえん)性肺炎)、②栄養不足や抵抗力(免疫能)の低下、③基礎疾患(糖尿病や心臓、肺の病気、がんなど)がある、④インフルエンザにかかった後になりやすい――などがあります。

肺炎を予防するには手洗いやうがい、口腔(こうくう)ケア(自宅で行う歯磨きも含む)、ワクチン接種などが大切です。口腔ケアをしっかり行うと、インフルエンザや誤嚥性肺炎の発症を抑えることができるというデータがあります。一方、ワクチンは病原体から作成した無毒化あるいは弱毒化した抗原を投与することで、感染症に対する免疫を獲得します。

肺炎の原因菌として最も多いのが肺炎球菌です。肺炎球菌は肺炎だけでなく、髄膜炎や中耳炎なども引き起こします。なかでも侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は、血液や髄液などの無菌検体から肺炎球菌が検出される病態で、死亡率は約17%と言われています。

この肺炎球菌はワクチン接種で予防でき、ワクチンにはニューモバックスNP(PPSV23)とプレベナー13(PCV13)の2種類あります。肺炎球菌には93種類の血清型があり、PPSV23は23種類、PCV13は13種類の血清型を予防の対象としています。

図 肺炎球菌ワクチン接種の考え方(65歳以上)

PPSV23の特徴として、①IPDを減少させる、②肺炎全体・全死亡を減らす強い根拠はない、③インフルエンザワクチンと併用すると市中肺炎全体、介護老人保健施設入所者さんの肺炎球菌性肺炎を減少させる、④肺炎球菌性肺炎は減る可能性がある――があり、PCV 13 の特徴として、①免疫原性(抗原が抗体をつくらせる性質)が高い、②市中発症の肺炎球菌性肺炎、IPDを減少させる、③成人での臨床データは少ない――があります。

PPSV23は2014年10月から65歳以上を対象に定期接種になりました。一方、PCV13は長期免疫の持続が期待され、14年6月から小児だけでなく65歳以上にも適応が拡大し、任意接種できるようになりました。日本呼吸器学会と日本感染症学会の合同委員会から提案されている2種類の肺炎球菌ワクチン接種の考え方については、図を参照し、感染予防に生かしてください。

定期接種前の実施率は約20%だったところ、現在は約65%まで増加しました。これを機に肺炎球菌感染の予防について考えてみましょう。

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