徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)2月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1224 三面

徳洲会救急部会 地域に根ざしたER
第11回ERCCMフォーラム

徳洲会救急部会(TKG)は1月25日から2日間、南部徳洲会病院(沖縄県)を会場に第11回ERCCMフォーラムを開催した。ERCCMとはER(救急外来)とCCM(救命救急医療)をかけ合わせた造語。今回の当番幹事は同院の清水徹郎・救急診療部長で、テーマは「地域に根ざしたER」。全国13病院から医師や看護師、薬剤師、救急救命士など45人が参加、19演題の発表があった。

全国13病院から多職種が集まり研鑽)全国13病院から多職種が集まり研鑽

初日は病院見学会と部会会議を開催。2日目に学術プログラムを実施、清水部長が司会を務めた。開会の辞では南部病院の赤崎満院長が「全国から沖縄に、そうそうたるメンバーが集まったことを嬉しく思います。議論が深まることを期待しています」と挨拶。これを受け清水部長は「演者の皆さんは質問のしやすい演題発表を行っていただき、若い世代の参加者は、なるべく1回は質問をするようにしてください」と呼びかけた。

続いて、多職種による全19演題を5部に分けて発表。第1部のテーマは「ERにおける薬剤師業務」。福岡徳洲会病院の立石裕樹薬剤師は「救急外来から集中治療室入室患者を対象とした潜在的な薬物相互作用(DDI)の調査・解析」と題し発表した。DDI検出プログラムを用い、同院集中治療室(ICU)での潜在的なDDIを調査。結果、「併用を避ける」、「処方変更を考慮」に該当した患者さんは約2/3あったが、そのうち介入対象は数%であり、「検出プログラムはDDIを知るうえで有用ですが、すべてのDDIが臨床上問題になるわけではないので、総合的な評価が必要です」と提起した。

当番幹事の清水部長は沖縄県特有の症例をクイズ形式で出題当番幹事の清水部長は沖縄県特有の症例をクイズ形式で出題
部会長の末吉院長は救急救命士の院内業務で発表部会長の末吉院長は救急救命士の院内業務で発表

第1部では札幌東徳洲会病院の齋藤靖弘薬剤師が「重症低⾎糖発作による救急搬送とスルホニル尿素系薬の服⽤及び⽤量の関係に関する調査」、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の宮⽥祐⼀薬剤師が「徳洲会グループ病院 救急・集中治療領域に関する従事状況調査」、中部徳洲会病院(沖縄県)の坂⼝結⽃薬剤師が「ケイセントラ®(乾燥濃縮⼈プロトロンビン複合体)の運⽤プロトコル作成と使⽤状況調査」と題する発表もあった。

第2、3部は「各地のERの体制について」がテーマ。宇治徳洲会病院(京都府)の能登路賀一・救急救命士は「病院救急救命士の可能性」と題し発表した。

救急救命士の活動域拡大の議論には質の担保が欠かせないが、「どのような法改正にも対応できるように準備しておくことが大切です」と呼びかけた。また、同院の末吉敦院長は、同演題に関連し「救命救急センター医師が救急救命士の院内業務に対して期待する業務」をテーマに発表した。

岸和田徳洲会病院(大阪府)の鍜冶有登・救命救急センター長は「大阪府独自の救急搬送システム~ORION~」と題し発表。ORIONは2014年10月に運用開始したスマートフォンのアプリで、ICT(情報通信技術)を活用し病院前情報と病院後情報がリンクしたデータを集積できるシステム。

ORION導入により、主訴と初期バイタルサインから自動的に搬送病院の選定ができ、公平性が担保され、検証が客観的に実施可能になったと強調。「医療機関側は、自院の搬入状況が行政のデータから検証可能になりました」などメリットをアピールした。

第2、3部では札幌東病院の松⽥知倫・救急センター副センター長が「転院を駆使した年末年始の救急受け⼊れ」、野崎徳洲会病院(大阪府)の千代孝夫・救急科センター長が「野崎徳洲会病院救急センターおける救急活動の分析に基づく将来の⽅向性の策定」、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の伊藤裕樹・救急救命士が「救急隊フィードバックノートを活⽤したプレホスピタル連携」、同院の鵜澤佑・救急救命士が「救急外来における紹介患者の実態調査〜救急⾞の適性利⽤に向けたNational Early Warning Score の検討〜」と「救急外来におけるWalk-in 患者のICU⼊室例の検討〜 Walk-in 患者の致死的疾患をいかに⾒抜くか〜」と題する発表もあった。

症例クイズの出題も

第4、5部のテーマは「臨床一般」。羽生総合病院(埼玉県)の長谷充康・救急科医長は「集中治療におけるリハビリテーションの試み」と題し発表。同院では可能な症例に対し、挿管下での立位および歩行のリハビリを行うよう試みている。

利点として①ほかにも積極的にリハビリを行ったが、立位まで挿管状態で行えるケースは、せん妄が起きにくいと思われた、②抜管後のADL(日常生活動作)回復が速やかだった――を挙げ、問題点として①人的消耗が大きく、つねにできるとは限らない、②動脈ラインをはじめライン管理に注意が必要、③患者さんのバイタルサイン(生命兆候)変化に注意が必要――を挙げた。

清水部長は「原疾患のない急性発症の多発大腸潰瘍」をテーマに症例クイズを出題。沖縄県では特定の要因で発症する腹部疾患を経験することがあると前置きし、症例提示したうえで参加者とディスカッションした。解答は「減圧症」で、「関節、運動器、神経系の症状が有名ですが、門脈系に大量のガス(窒素)を発症し、腹痛を来すことはまれではありません」と解説した。

ほかに初期研修医からの演題もあり、中部徳洲会病院の宮里実幸・初期研修医は「感染性髄膜炎との鑑別に苦慮した急性クモ膜下出血の一例」、南部病院の照屋周・初期研修医は「補助循環装置を要したSTSS・たこつぼ型心筋症を合併した劇症型A群連鎖球菌性壊死(えし)性筋膜炎の一例」をテーマにそれぞれ発表。

第4、5部では⽣駒市⽴病院(奈良県)の今村正敏総長が「異所性妊娠の早期診断について」、札幌東病院の⾦城綾美・救急センター医師が「ジスチグミン臭化物によるコリン作動性クリーゼの一例」、岸和⽥病院の篠㟢正博・救命救急センター顧問が「敗⾎症性ショックに対する輸⾎療法による呼吸不全の発⽣頻度」と題する発表もあった。

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