徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

末吉 敦(すえよしあつし)宇治徳洲会病院院長(京都府)

直言 生命いのちだけは平等だ~

末吉 敦(すえよしあつし)

宇治徳洲会病院院長(京都府)

2020年(令和2年)2月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1224

地域での急性期の全医療需要に応え
地域包括ケアシステム形成にも貢献
独自の臨床指標で医療の質と安全向上へ

宇治徳洲会病院は徳洲会7番目の病院として1979年に開設され、2019年12月1日に40周年を迎えました。私は研修医として1986年に入職しました。88年頃までは、救急車を受け入れるかどうかは外来看護師が判断しており、救急搬送受け入れ件数は少なく、地域で3番目の受け入れ件数でした。

救急車を断らず、重症救急の初療にすべて参加するため、91年に救急受け入れ携帯電話を導入し、勤務中は、この電話を携行して20年以上過ごしました。95年からドクターカーで心筋梗塞患者さんなどをお迎えに行くようになり、京都府で一番多く心筋梗塞患者さんを治療。また、救急を断らないようにすると、すぐ地域で一番の救急病院になり、2004年からは京都府でも一番となりました。救命救急センターのない地域の現状についてまとめ学会発表、さらに新聞報道、行政との度重なる交渉により、12年には近畿地方で初めて民間病院で救命救急センターの指定を受けました。

リハビリ専門病院の建設と現病院の増床を行政に要望

15年に院長に就任し、同年、新築移転、急性期の病床は421床、回復期リハビリテーション40床、緩和ケア12床を開設し、合計473床になりました。

病院の継続的な整備のため、2年おきの短期・中期計画、5年おきの長期計画を立てています。ガバナンス(統治)の語源は船の舵(かじ)取りです。病院全体が同じ方向に向いて努力できるように、ガバナンス向上を目指しています。当初立てた計画は8割方達成。それまでに指定されていた地域周産期母子医療センターと救命救急センターに加え、地域災害拠点病院、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院、病院総合体制加算2、DPC(診断群分類別包括評価)特定病院群となり、より行政に認められた形で地域医療に貢献できるようになりました。

病院の整備方針は、地域で発生する急性期のすべての医療需要に応え、生命を安心して預けられる病院となることです。とくに地域にない診療機能の整備を目指しています。最近、救急外来にハイブリッドER(救急救命室)を新たに設置。初療やCT(コンピュータ断層撮影)検査、血管造影、手術を患者さんの移動なく行えるのが特徴です。全国で12番目の設置で、重症救急患者さんの救命率が向上し、これまで救命できなかった患者さんをひとりでも多く救命できることを期待しています。

また京都府南部には白血病、悪性リンパ腫など血液がんを治療できる病院がなく、高度無菌病室2床を含む18床の無菌病棟を5月に開設します。喉頭(こうとう)がんなど頭頸部(とうけいぶ)外科治療施設もないことから4月に開設。PET(陽電子放射断層撮影)︱CT、乳房専用PET装置も導入します。当院が立地する山城北(やましろきた)医療圏では病床数が大幅に不足しており、今後、介護需要も大幅に増加する見込み。当院は高度急性期のみではなく、介護老人保健施設、特別養護老人ホームも開設しており、在宅医療部、訪問看護ステーションも設置しています。

病院は急性期のみで成り立つものではなく、ポスト急性期、慢性期、介護施設、在宅との円滑な連携が必須です。あらゆる医療需要に貢献していくため、現在不足している回復期機能を補う「宇治リハビリテーション病院」(仮称)の新設と現病院の増床を行政に要望しています。急性期病院という視点からではなく、この地域の地域包括ケアシステム全体に寄与できるように、急性期から在宅までのネットワークを自施設群で構築し、より良い地域包括ケアシステムの形成に邁進(まいしん)したいです。

労働強化をともなわない効率良い医療経営を模索

病院がより地域に貢献できるようにするためには、患者さんと紹介医の満足度を向上していくことが重要です。病院という企業は、ほとんど人間のみで成り立っています。医療スタッフの育成は何よりも大切です。また医療に最も重要なのは医療の質と安全の向上です。現在、学会主導でさまざまな登録作業が行われ、質の管理にも使用されていますが、当院でもQI部門(医療の質の向上部門)をつくり、独自のより細かなクリニカルインジケーター(臨床指標)を作成し、改善に努めていきます。医療費が抑制されるなか、経営の安定も大事なテーマです。厚生労働省が目指す政策を十分理解し、労働強化をともなわない効率の良い医療経営を模索しています。皆で頑張りましょう。

PAGE TOP

PAGE TOP