徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)9月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1201 三面

「人間力」テーマに講演会
NPO 法人ホスピスのこころ研究所
開設から1年が経過 前野・札幌南病院総長が理事長

札幌南徳洲会病院の前野宏総長が理事長を務めるNPO法人ホスピスのこころ研究所は6月と8月に、札幌市内で「人間力」をテーマに講演会を開催した。1月に開始したシリーズ講演会の一環で、今回も多くの医療従事者や一般の方々が参加した。開設から1年が経過した同研究所について、前野総長は「さらなる飛躍」を誓った。

精力的な活動を誓う前野総長精力的な活動を誓う前野総長

6月は淀川キリスト教病院の柏木哲夫・名誉ホスピス長を講師に招き、「ケアする人に必要な人間力」と題し講演。まず米国の哲学者ミルトン・メイヤロフの言葉を用いながら、ケアの本質やケアする人のもつべき資質について解説した。

そのうえで、ケアする人に必要な人間力に言及。①聴く力、②共感する力、③受け入れる力、④思いやる力、⑤理解する力、⑥耐える力、⑦引き受ける力、⑧寛容な力、⑨存在する力、⑩ユーモアの力――を示した。このうち「最も重要な力」としたのが聴く力。

長年にわたる臨床経験から「患者さんは、たとえ混乱していても自分の話を相手が聴いてくれているか瞬時に見抜く力をもっている」と指摘し、何となく“聞く”のではなく、心を込めて(関心をもって)しっかり“聴く”大切さを訴えた。「一番難しい力」には、共感する力を挙げ、共感力を高めるコツとして、目の前の患者さんと自分をイメージのなかで入れ替える方法を紹介した。

ユーモアの力ではオーストリアの精神科医・心理学者のヴィクトール・エミール・フランクルの言葉などを紹介しながら、自ら経験した患者さんとのエピソードを交え「ユーモアには立場(医師と患者さんなど)の壁を崩す力がある」と重要性を強調した。

8月は愛知県がんセンター病院精神腫瘍科部の小森康永部長が「シシリー・ソンダースの考える『人間力』」をテーマに講演した。小森部長は“近代ホスピスの母”と言われるソンダースの研究第一人者。

両講演とも盛況両講演とも盛況

講演は柏木・名誉ホスピス長の講演を受け、そこに“ソンダース的解釈”を加えた内容。具体的には、ケアの本質ではソンダースの言葉を用いて沈黙の重要性を示唆。患者さんが直面しているものを学ぼうとする時「しばしば言葉よりも沈黙と会話の途切れのほうが、より多くの意味がある」と指摘した。

10の力についても解説。共感する力では、感傷的な同情とは異なる点を指摘したり、引き受ける力ではスピリチュアルペインに言及したりした。最後に、次回の講演では言語の反対を沈黙と考え、沈黙と言葉をテーマとする考えを明かした。いずれの回も第2部で講師と前野総長が対談した。シリーズ講演会は全6回を予定。第5回は11月に柏木・名誉ホスピス長、第6回は来年1月に小森部長が講師を務める。テーマは「ことば」。

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