2019年(令和元年)9月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1201 四面
10年間で累計900件
在宅看取りを積極化 訪看STわかば
訪看STわかばのスタッフ(後列中央が大井所長)
みなし指定により訪問看護サービスに取り組んできた榛原総合病院(静岡県)は4月、新たに開設した訪問看護ステーション(訪看ST)わかばに、訪問看護事業を移管。同院が2009年に訪問看護を開始して以降、訪看STに移管後も一貫して注力しているのが在宅での看取りだ。
同訪看STの大井陽江所長は「『畳の上で看取ってほしい』という患者さんの言葉から、09年に榛原病院で訪問看護事業を立ち上げ、11年から本格的にスタートしました。立ち上げ時には外科医を巻き込み在宅医療チームを編成しました。在宅酸素療法や麻薬持続点滴など医療処置を行っている患者さんも含め、在宅療養を希望する患者さんはすべて受け入れています」と説明する。
開始後サービス利用者は順調に増え、開始初年度(09年度)の訪問看護件数は392件、本格始動した11年度には3167件、18年度には6620件にまで増加。同時に開始した訪問診療も右肩上がりで増え18年度は853件。また在宅看取りの件数も09年度16件、11年度80件、18年度114件と、年間100件超の件数が定着している。これまで(09~18年度)の在宅看取りは累計901件に上る。
たとえば終末期で寝たきりの90代女性患者さんの事例では、ショートステイ(介護施設への短期入所)利用中に意識レベルが低下。施設から家族に救急搬送について意向確認の連絡があり、家族は患者さんの在宅看取り希望をふまえ、ケアマネジャーに連絡。ケアマネジャーから同訪看STに連絡があり、訪問看護師がショートステイ先に出向いて付き添いながら、家族の車で患者さんが帰宅。主治医に連絡し往診を受け、その4日後、家族に見守られながら息を引き取った。患者さんの家族は「自宅が好きだったから、自宅で看取ってもらって良かった」と感想を漏らしていたという。
大井所長は「訪問看護は看護師として、また人として成長させてくれる現場です」と話している。