2019年(令和元年)9月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1201 二面
札幌東病院
早期社会復帰を支援
内視鏡下耳科手術が好評
札幌東徳洲会病院は2016年2月に耳鼻咽喉(いんこう)科・頭頸部(とうけいぶ)外科を開設して以来、聴力改善手術などに内視鏡を導入し好評だ。國部勇・主任部長は「入院期間が短くなり、早期の社会復帰が可能」とアピール。
内視鏡手術を実施する國部・主任部長
聴力を失う、または低下する原因には鼓膜穿孔(せんこう)、真珠腫性中耳炎、外リンパ漏、耳硬化症など、さまざまな疾患がある。従来は耳の後ろや前に皮膚切開を入れて、顕微鏡下で手術するのが一般的。2~3週間の入院が必要で、傷が残り耳のしびれなどが続くこともある。
一方、内視鏡手術は外耳道を経由して内視鏡やメス、鉗子(かんし)などを挿入するため、低侵襲で治療可能。患者さんの回復が早く、入院期間も短ければ2泊3日ほどで、早期に社会復帰できる。
同手術に使う内視鏡は外径2・7㎜と非常に細いタイプ。同手術はデバイスの進化とともに普及してきた比較的新しい治療法だ。顕微鏡下では見えにくい視野も、内視鏡であれば耳の奥まで入れて広角で視野を確保できるため、手術のしやすさが格段に向上。さらに、手術部位をモニターに映し出せるため、若手医師への指導にも役立つ。
ただし、たとえば真珠腫性中耳炎では、鼓膜の裏のみに限局している早期の場合に限り適応となる。また、基本的には手術前に内視鏡手術の適応を評価するが、実際に内視鏡で病変を確認した際に、不適応と判断することもある。その場合、すぐに顕微鏡下手術に切り替えられるよう万全の体制を取っている。
手術は全身麻酔で行うため、聴力回復の具合を確かめるのは術後になる。國部・主任部長は次のステップとして「局所麻酔で手術を行い、患者さんに耳の聞こえ具合を確かめながら治療できるようになることが目標です」と展望。ただし、手術には微細な操作が必要なため、患者さんが動くと、それだけリスクも高まる。「まずは医療講演などで耳科領域での内視鏡手術の認知度を高め、丁寧に対応していきます」と意欲的だ。