徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)8月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1199 三面

肝胆膵内科 山本部長が2演題
米国消化器病週間で発表

世界的な学会で発表した山本部長 世界的な学会で発表した山本部長

東京西徳洲会病院の山本龍一・肝胆膵(すい)内科部長は米国サンディエゴで開催された消化器関連の学術集会「米国消化器病週間(DDW:Digestive Disease Week)2019」で2演題を発表した。

1題は「Comparison of ERCP-related procedure outcomes depending on assistance by an endosco pic technician or fellow endoscopist(ERCP関連手技における内視鏡技師と内視鏡専門医での助手の違いによる治療成績の比較検討)」がテーマ。

山本部長は自院で総胆管結石、悪性胆道狭窄(きょうさく)と診断されERCP関連手技を施行した188例を対象に、内視鏡専門医が助手を務めたケースと、それ以外の職種(看護師など)が助手を務めたケースでの違いを検証。内視鏡専門医が助手を務めた群例と、それ以外の職種が助手を務めた群例で、総胆管結石、悪性胆道狭窄症例ごとに患者背景や治療成績、偶発症について検討した。

結果は、専門医群のほうが、ERCP難症例が多く処置時間が長くなる傾向が見られたが、両群間に治療成績や偶発症の発生率に有意差を認めなかった。山本部長は「胆管挿管の成功率などにも違いは寄与せず、ERCP関連手技の助手では、ても内視鏡専門医であっても、大きな影響がないことが示唆されました」と締めくくった。

もう1題は「Risk facto rs for acute cholangitis caused by common bile duct stone : a single-center study(総胆管結石性胆管炎のリスクファクターの検討〈単施設〉)」がテーマ。胆管炎は、胆管に細菌が感染して起こる疾患で、結石などと合併する場合が多い。重症化すると死に至るケースもあり、「とくに高齢者の場合は注意が必要」(山本部長)と言われている。

山本部長は、総胆管結石性胆管炎で自院に入院した患者さんを対象に、総胆管結石性胆管炎がリスクとなり得る要因を検討。胆管炎を合併して来院した患者さんの群と、総胆管結石症ながらも無症状で来院した患者さんの群を比較検討したところ、総胆管径㎜以上または総胆管結石径㎜以上であることが、胆管炎のリスク要因となる可能性を示唆した。

山本部長は、「あくまでもひとつの検討なので、それらがリスク要因になると言いきれません」としながらも、「総胆管が太くなるほど総胆管内の胆汁の流れが乱流(よどむ)になり、合併症を起こしやすいという報告もあり、リスク要因となり得るのは理にかなっているように思います」と振り返った。

「リスク要因が明らかになれば、該当する患者さんのフォローをこまめにするなど、よりきめ細かい対応が可能になります」と、今後も検証を続ける意欲を見せた。

山本部長は「世界中から消化器関連の医療従事者が集まるイベントに参加できたこと、また年に入職し当院で学会発表できるデータの構築をひとつの目標にしていたので発表できたことを素直に嬉しく思います。患者さんのために、さらに努力を重ねます」と、臨床とともに国内外の学会発表にも精力的に取り組んでいく考えだ。     

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