徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)7月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1195 一面

徳之島徳洲会病院
遠隔診療を本格実施へ
“徳之島モデル”創出目指す

徳之島徳洲会病院(鹿児島県)は遠隔診療を本格的にスタートする。バイタルサイン(生命兆候)の計測装置とスマートフォンやタブレット型端末を活用したシステムで、医師は病院で在宅患者さんの血圧や脈拍などをリアルタイムで把握しながら診察する。テレビ電話機能も搭載し、画面上で医師と患者さんが互いに表情を見ることも可能だ。すでに試験的に10人ほど行い、8月下旬から本格化する予定。プロジェクトリーダーを務める水田博之副院長は「ほかの離島・へき地医療でも活用できるような“徳之島モデル”を創り出したい」と力を込める。

島内の3町とも緊密に連携

「どこか具合の悪いところはありませんか」、「顔色が良いですね」と患者さんに呼びかける水田副院長。モニターには患者さんの表情(左側)や血圧などが映し出される 「どこか具合の悪いところはありませんか」、「顔色が良いですね」と患者さんに呼びかける水田副院長。モニターには患者さんの表情(左側)や血圧などが映し出される

徳之島病院が導入した遠隔診療システムは、主に心電図、動脈血酸素飽和度(SpO2)、血圧、体温、脈拍、体重を計測する各装置とスマートフォン、タブレット端末などの専用機器からなる。各装置は近距離無線通信機能を搭載し、スマートフォンやタブレット端末に患者さんの生体情報が送受信できる。

その情報はインターネット回線で専用のデータセンターにリアルタイムに収集・蓄積。医師や看護師は院内の端末などからデータセンターにアクセスすることで、離れた場所でも患者さんの状態が確認できる。テレビ電話機能も装備し、医師と患者さんが互いに表情を見ながら会話することが可能だ。

稲・看護副主任(右)のサポートの下、タブレット端末で医師とコミュニケーションを図る患者さん 稲・看護副主任(右)のサポートの下、タブレット端末で医師とコミュニケーションを図る患者さん

ほかにも、同システムには各種生体情報が設定した数値を超えた時やスマートフォン・タブレット型端末の電池残量が少なくなった時などに自動で注意喚起する機能、状態把握の目的に応じてデータを表示できる機能、患者さんごとに情報共有先(連携機関)が変えられる機能などが備わっている。

これらの機能を駆使し在宅医療の質向上や在宅診療医の負担軽減などを図ろうと、同院は藤田安彦院長、水田副院長、訪問看護責任者の稲智恵・看護副主任、情報管理システム管理室の上川和也係長をコアメンバーとするプロジェクトチームを編成。

専用機器を5セット導入し、1月から試験的に遠隔診療を実施してきた。専用機器を訪問看護師または事務職員が患者さん宅に持参し、セッティングしたうえで医師がオンライン診療を行うスタイルで、プロジェクトリーダーの水田副院長が10人ほどの患者さんに行った。

「在宅医療のニーズに対して、その役割を担う医師・拠点が不足しています。徳之島は周囲80㎞あり、移動に時間を要することから効率の良い在宅医療を実施するにはオンライン診療が良いと考えました」と水田副院長。

実際に行った手応えを聞くと「早く患者さんの異常に気付けたり、終末期の患者さんを支えるご家族と話し、安心していただいたりしたこともありました」。

今後、オンライン診療を現場で行う役割は伊藤栄二・内科部長にバトンタッチし、水田副院長は遠隔診療の普及・改善のためのバックアップに努めるという。「他の先生にも経験していただきたいと考えています。8月下旬から本格的に取り組んでいく予定です」。

同院では、こうした医師によるオンライン診療に加え、患者さん宅に専用機器をセッティングした状態で病院から生体情報を観察する「遠隔モニタリング」、島内にはいない専門医が離れた場所で診療する「島外専門医オンライン診療」の3形態を“徳之島モデル”として展開していくことを視野に入れている。実現するためには島民の方たちの理解、インフラ整備、財源確保といった多様な課題解決が不可欠なことから、地域と連携し進めていく方針だ。

パッケージ化して他の離島・へき地に導入も

3月には水田副院長が島内3町の首長や職員、医療・福祉関係者らで構成する「徳之島の将来の医療・福祉を考える会」(会長=大久保明・伊仙町長)の会合で、「遠隔診療『徳之島モデル』」と題してプレゼンテーション。同システムの活用や徳洲会インフォメーションシステムとの連携によるシステムの構築など、事業のスキームなどを説明した。

7月の同会総会では議案審議前に藤田院長が事業の内容を説明。参加メンバーは遠隔診療の徳之島モデル創出に向け事業を展開していくことを確認、医療機関での専門機器導入費用の助成を盛り込んだ2019年度の事業計画などを承認した。

国の支援の活用も想定している。「総務省や厚生労働省などが、ITを駆使したシステム構築や遠隔診療の整備などを支援する事業を実施しているので、そういったサポートも受けられればと思います。近い将来、当院は新築移転を予定していることもあり、遠隔診療も含め徳之島の医療の質向上につなげたいです」(水田副院長)。

さらに徳之島モデルのシステムや手法、人員の配置などをパッケージ化することで、全国の離島・へき地でも導入しやすい環境をつくる構想も明かす。「医師が少ない地域で遠隔診療が果たす役割は大きいと思います」と、水田副院長は「日々の診療だけでなく、無医村での看取り、災害時のトリアージ(緊急度・重症度選別)、独居高齢者の見守り(緊急時対応)など、さまざまな可能性を秘めています」と指摘。「できるだけほかの地域でも導入・運用しやすいノウハウを培いたい」とし、「徳洲会グループで遠隔診療部会のような組織を形成しても良いかもしれません」と目を輝かせる。

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