2018年(平成30年)7月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1144 一面
MRgFUS
湘南藤沢徳洲会病院が
自由診療1例目に奏功
医師、看護師、診療放射線技師、MRgFUS装置の技術者から成る治療チーム
湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)は6月26日、薬剤抵抗性の本態性振戦(自分の意思と関係なく手や首が震える疾患)に対するMRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)の自由診療1例目を実施した。同治療はMRI(磁気共鳴画像診断)で患部の位置と温度をモニタリングしながら、約1,000本の超音波を一点に集中させ患部を熱凝固する治療法。
患者さんは80歳代女性。50歳代で本態性振戦を発症、右上肢優位の四肢の姿勢時・動作時の振戦に加え、頚(けい)部と下顎(かがく)にも症状が出ていた。薬物治療を試みたが、改善を認めず、口渇や眠気が生じたために治療を断念。自由診療で経済的負担が大きいが、「好きな絵を思いきり描かせてあげたい」という家族の強い思いがMRgFUSの受診につながった。
11回の超音波照射を終えた直後から下顎と右上肢の姿勢時・動作時振戦が、ほぼ完全に消失し、重篤な有害事象は生じなかった。治療前は箸を使った食事や書字ができなかったが、治療翌朝には味噌汁の具を箸でつまむことができ、字を書くこともできるようになった。「来年の年賀状は自分で書きます」(患者さん)、「期待どおりの効果です。あじさいをデッサンすることができました」(家族)と喜びの声。3泊4日の入院後、患者さんは退院した。
主治医の伊藤恒・神経内科部長は「MRgFUSは既存の治療より侵襲性が低いことが特徴です。20例以上の経験を積んだことにより、治療の流れがどんどんスムーズになっていますが、一例一例、丁寧に治療する姿勢を維持するとともに、長期的な経過を観察し国内外に報告していきます」と話している。