徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

鈴木 隆夫(すずきたかお)(一般社団法人徳洲会理事長(東京都、大阪府))

直言 生命いのちだけは平等だ~

鈴木 隆夫(すずきたかお)

一般社団法人徳洲会理事長(東京都、大阪府)

2018年(平成30年)7月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1144

多くの支援のおかげで徳洲会は今ある
私たちは医療・福祉を通じ恩義に報う
医療と真心は国境・宗教・人種を越えて

先日、モンゴルの保健大臣から招聘(しょうへい)を受け、首都ウランバートルを訪問しました。夕食会で大臣からFIFA(フィファ)ワールドカップ・ロシア大会での日本チームの戦いぶりやサポーターのごみ拾いについて、同じアジア人として誇りに思うと称賛され、とても嬉しく思いました。

今から30年ほど前の1985年3月17日、イラン・イラク戦争の最中、イラクのサダム・フセイン大統領は48時間の猶予期限以降にイラン上空を飛ぶ飛行機を無差別に攻撃するという通告を突然出しました。

世界中がパニックになり、どの国もイランに取り残された自国民の救出に全力を注ぎました。日本航空が救援機を出すことになりましたが、労働組合の反対により飛ばすことができません。各国の航空会社が自国民を優先して搭乗させていくなか、日本政府はトルコのトゥルグト・オザル首相に日本人215人の救援を請うたところ、快諾。トルコ航空がテヘラン行きのパイロットを募ると、何とその場にいた全員が手を挙げました。

タイムリミットは19日午後8時20分。トルコ航空の一番機は198人の日本人を乗せて午後5時10分に離陸。二番機は17人の日本人を乗せ、タイムリミットの50分前、午後7時半にテヘランを離陸しました。ぎりぎりのところで、日本人は救われたのです。

テヘランに残されたトルコ人たちは、トルコ大使館が用意した車に分乗し、危険を覚悟で陸路、国境を越えトルコに到着。このことで、トルコ政府に文句を言ったトルコ人は皆無だったそうです。当時、なぜトルコが自国民より日本人を優先して救出したのか、日本政府もマスコミも不思議に思っていました。駐日トルコ大使は短くこう言ったそうです。「エルトゥールル号の借りを返しただけです」。

トルコ航空に日本人が救出された100年ほど前の1890年、トルコ(当時はオスマン帝国)のエルトゥールル号(蒸気船)が和歌山県紀伊大島の樫野埼(かしのざき)付近で台風のため座礁、爆発して587人の乗務員が死亡する事故がありました。住民たちは救援に駆け付け、生き残った69人を救出。台風により食糧の貯えがわずかしかなかったが、生存者に衣類や食料を与え、救護に務めました。知らせを聞いた明治天皇は、可能な限り援助を行うように指示、新聞各紙は衝撃的なニュースとして伝え、各地から義援金が寄せられました。翌年、日本海軍は生存者をイスタンブールまで送り届けました。これはトルコでは教科書にも載っている話で、誰もが知っている歴史的な出来事です。

1999年8月17日に発生したトルコ北西部地震では、テヘランで助けられた商社マンや銀行マンが義援金募集に奔走し、日本政府も迅速に緊急物資や無償援助を提供、レスキューチームや医療チーム、耐震診断やライフラインの専門家を派遣。

横須賀で救援物資を積んだ海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」では、出発前に艦長から訓示がありました。「トルコ共和国はイラン・イラク戦争の折、危険を顧みずに2機の航空機をイランに派遣し、テヘランに残留していた日本人を救出してくれた。今こそ、トルコの恩に報いなければならない」。

利益を厳しく追い求めるのは夢・希望・ロマン達成のため

徳洲会が今日あるのは、多くの方々の支援があったからです。一番の恩は地域の方々からの応援で、とくに患者さんからの励ましの言葉は、何物にも代えがたいものでした。私たちは医療・福祉を通じて恩義に報う義務があります。

徳洲会はあらゆる角度から無駄を省き、利益を厳しく追い求めますが、利益の追求は決して私たちの目的ではなく、私たちの夢、希望、ロマンを達成するための手段であり、道具なのです。離島・へき地医療の充実、病院の建て替え、職員の処遇改善、災害医療支援、アジア、アフリカなどの医療発展への貢献も利益なしには実現できません。

今年3月、タンザニアで徳洲会と東京女子医科大学、同国の現地医療スタッフによる初の腎移植術が行われました。術後30分が経ち、手術成功の証しとして、レシピエント(臓器受給者)から尿が出たという喜びの声を、私は1万㎞以上離れた日本で、夜中の2時に聞きました。この時の手術室で歓喜に沸くスタッフたちの写真は、感動と感激を絵にしたかのようで、まさに医療と真心は国境、宗教、人種を越えられることを表したものと言えます。皆で頑張りましょう。

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