2018年(平成30年)6月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1139 二面
中部徳洲会病院
病診連携の発展へ
第2回ゆんたく会を開催
中部徳洲会病院(沖縄県)は5月30日、1階ホールで第2回中部地区病診連携の会「ゆんたく会」を開催した。同院が立地する沖縄中部地区の病診連携の発展が狙い。“ゆんたく”は「おしゃべり」を意味する沖縄の方言で、当日は情報共有のための講演を実施し、情報交換会を通じて親睦を深めた。病院・診療所の院長を中心に約50人が参加し盛況だった。
「地域の方々が安心して継続的な医療を受けられるよう連携を強化していきたい」と伊波院長
講演を行ったのは中部徳洲会病院の仲間直崇・消化器内科医長兼在宅・緩和ケア科医長と、同院地域医療連携室の平仲敦・課長補佐。たまきクリニックの玉城政弘院長が座長を務めた。
Clutch CutterによるESDなどを解説する仲間医長
仲間医長の講演テーマは
「進歩した酸関連疾患治療と内視鏡的早期癌治療について~安全なはさみ型デバイス【Clutch Cutter】を用いたESDの現状~」。内視鏡検査の実績や画像を提示しながら同院のESD(内視鏡的粘膜下層剝離(はくり)術)症例を説明。早期がんと進行がんの相違や胃・食道・大腸がんに対するESDの適応を解説後、Clutch Cutterに言及した。これはESDを行うデバイス(医療機器)のひとつで、先端部分がはさみのようになっており、組織を把持したり、把持部分に通電し切除したりすることができる。
逆紹介増加に向けた取り組みなどを講演する平仲・課長補佐
「Clutch Cutter は、つかんだところだけに通電されるため、予定外の切除が起こる可能性がきわめて低く、手術を安全に遂行できます。また、病変部周囲の切開、粘膜下層剝離、止血をひとつのデバイスで完結することができるのも特徴です」と仲間医長は説明した。
平仲・課長補佐は
「当院における病診連携(逆紹介)増加への取り組み」をテーマに講演した。逆紹介(病院から診療所に患者さんの紹介を行うこと)増加の取り組みとして、①かかりつけ医への紹介を希望する患者さんに見てもらうチラシを院内に設置、②電子カルテの画面内に近隣医療機関のリストを表示する機能(検索システム)を付加――を紹介。
「ゆんたく会開催前後の1年間を比べると、月間の平均紹介件数、平均逆紹介件数ともに増加傾向となっています」と動向を紹介した。
病院・診療所の院長など約50人が参加
最後に、沖縄県医師会理事の比嘉靖・東部クリニック院長が「おきなわ津梁(しんりょう)ネットワーク」の周知と参加の呼びかけを行った。同ネットワークは参加医療機関が患者さんの健康情報を共有し適切な指導・診療に結び付けるための仕組み。
終了後の情報交換会では、沖縄リハビリテーションセンター病院の濱崎直人院長が乾杯の発声を行い、終始和やかな雰囲気のなかで参加者らが交流を深めた。
中部徳洲会病院の伊波潔院長は「地域住民の方々が安心して継続的な医療を受けられるよう、医療機関同士で顔の見える関係を構築し、より一層連携を強化していきたい」と話している。