徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)6月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1139 四面

横井・岸和田徳洲会病院副院長
末梢血管内治療の発展へ
学術集会「JET2018」開催

JET(Japan Endovascular Treatment Conference)2018が3日間、大阪市内で開かれた。同イベントは岸和田徳洲会病院(大阪府)の横井良明副院長が立ち上げた末梢血管内治療の学術集会。演題発表をはじめ、実際に患者さんに治療している様子を病院から中継し、供覧するライブセッションや、国内外の医師と議論を交わすディベートセッションを多く設けるなど現場重視かつ“楽しく学ぶ”をコンセプトとしている。09年から年1回開催し、今回が10回目。参加人数が過去最高に達するなど節目にふさわしい盛況ぶりだった。徳洲会グループから5病院が参加。

国内外から2184人が参加

身振りを交え熱く議論する横井副院長 身振りを交え熱く議論する横井副院長

JETは、もともと横井副院長が2004年に血管内治療の研究会であるJPIC(Japan Peripheral Intervention Conference)を開始したことが嚆矢(こうし)だ。

当時、末梢血管への治療は血管外科医による外科手術が主であった。下肢や腎臓、頚(けい)動脈などへのカテーテル(医療用の管)を用いた末梢血管内治療(Endovascular therapy:EVT)は、まだその創生期であり、循環器内科や脳神経外科、放射線科、血管外科など、さまざまな診療科が実施。

「スタンダードがなく、どの方法が患者さんにとって最適なのか“物差し”がなかった」(横井副院長)ことから、EVTの標準化、最善の医療の提供を目指し、JPICを立ち上げた。

四方を参加者に囲まれ、ディベートも。「距離が近くて良い」と横井副院長。参加者の約2割が外国人で、英語によるセッションは全体の半数 四方を参加者に囲まれ、ディベートも。「距離が近くて良い」と横井副院長。参加者の約2割が外国人で、英語によるセッションは全体の半数

当初は少人数の研究会だったが、次第に人数が増えたこともあり、診療科の枠にとらわれない横断的な会を設立したいと考え09年、JETに改称。さらに他学会との連携や研修の開催など幅広い活動で医療機器の目覚ましい進歩に対応することを視野に入れ、一般社団法人格を取得した(代表理事は横井副院長)。

15年からは海外の学会だけでなく、外国の病院などにも誘われ、勉強会を開くなど交流を図ったこともあり、会員が増加。会の規模が大きくなる半面、国際化も進み、近年は、韓国と台湾を中心に、アジア圏の外国人医師が数多く参加するようになった。

以前は発表や大会プログラムなどに用いる言語は原則、日本語としていたが、15年から本格的に英語のプログラムを増やしていった。「たとえ発表が英語で行われたとしても、その後の議論やライブの解説などが日本語では参加しても仕方ないと言われたこともありました」と横井副院長は振り返る。「試行錯誤を繰り返し、JETをつくり上げてきました」。

10回目を記念する大会

ステージに登壇したシンポジストと率直に意見を交わす藤原部長 ステージに登壇したシンポジストと率直に意見を交わす藤原部長

10回目の記念すべき今大会は横井副院長が大会長、岸和田病院の藤原昌彦・循環器内科部長が事務局長を務めた。8つの会場を設け、3日間で計128のプログラムを実施した。

通常の演題発表はもちろん、実際に患者さんに治療している様子を供覧し、治療の進め方や患者さんの状態の評価などについて議論するライブセッション、四方を参加者に囲まれながら議論するディベートセッション、ほかにもシンポジウムや教育セミナー、コメディカルを対象とした一般演題など、多彩な形式で行った。

内容も穿刺(せんし)やEVTの評価指標など基本的なものから、今年新たに臨床承認された薬剤溶出性バルーン(DCB)など最新トピックスまで多岐にわたった。

具体的に、ライブセッションでは初日に徳洲会グループ外の病院で実際に浅大腿(せんだいたい)動脈(SFA)に対する血管内治療を生中継し、その後、DCBと薬剤溶出性ステント(DES)に関する最新エビデンスや各機器に対する見解を議論するプログラムを行ったほか、2日目に岸和田病院で藤原部長らが治療する様子を供覧した。

発表後、質問に笑顔で答える矢津・臨床工学技士 発表後、質問に笑顔で答える矢津・臨床工学技士

教育セミナーでは非動脈硬化性疾患やCLI(重症下肢虚血)創傷管理、再狭窄(きょうさく)・再閉塞、上肢へのインターベンション(カテーテルを皮膚に開けた穴から血管に挿入して行う治療法)、膝下(しっか)動脈EVTなどがテーマだった。

このほか「横井アンギオグラフィーアカデミー」と題し、横井副院長が基本的な血管造影の撮り方やEVTの評価などをレクチャーするセッションや、テレビ番組のタイトルをもじり「横井の知らない世界」と題し、若手医師が最新の手技や機器などについてプレゼンテーションするセッションを実施した。藤原部長も複数のセッションで発表。「石灰化病変治療の現状と今後の展望」と題し、日本人に特徴的な血管の石灰化についてまとめたデータを報告したりした。

コメディカルの一般演題では岸和田病院の矢津優子・臨床工学技士が発表した演題「膝下動脈病変に対する血管内治療におけるIVUSの有用性の検討」が優秀演題に選出された。

岸和田病院以外にも、徳洲会グループでは札幌東徳洲会病院、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、名古屋徳洲会総合病院、大垣徳洲会病院(岐阜県)が参加。医師やコメディカルがさまざまなテーマで発表した。

「Yes」、「No」のうちわを配り、参加型のセッションも 「Yes」、「No」のうちわを配り、参加型のセッションも

会は無事に終了。国内外から過去最多の2184人が参加するなど、最後まで会場は熱気を帯びていた。横井副院長は「国内だけでなく、外国の医師も喜んでいました。日本はもちろん、アジア全体でEVTのより良い発展に尽くしていきたい」と笑顔。

続けて、「安易な手技成功に走らず、臨床成功を得るために最適な治療手技選択、長期データの蓄積など、今後10年のJETには、さらに多くの役割が必要とされています」と意欲を見せた。

プログラムの立案、外国人医師への対応などすべてを取り仕切り、中心的に携わった藤原部長は「プログラムやライブセッションの数、外国人参加者数なども過去最高でした。大変でしたが、報われました」と充実感がにじみ出ていた。

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