徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)3月5日 月曜日 徳洲新聞 NO.1123 三面

徳洲会薬剤部会
幅広い薬剤師の役割
九州・奄美・沖縄ブロック
臨床業務研究会

徳洲会薬剤部会の九州・奄美・沖縄ブロックは2月11日、福岡徳洲会病院で第5回臨床業務研究会を開催した。同会は各病院の薬剤部が日頃の臨床業務で実践している改善の取り組みや成果などを共有するのが目的。北海道・東北ブロック、北関東・南関東ブロック、関西・大阪・四国ブロックでも同様の取り組みを行っている。

10病院から50人ほどの薬剤師が集まり活発に意見交換 10病院から50人ほどの薬剤師が集まり活発に意見交換

同会にはグループ10病院から50人ほどが参加した。福岡病院の平川雅章・薬剤部長の挨拶で開会。2月3日に行われた徳洲会グループ第2回QI(Quality Improvement/Indicator)大会で、瀬戸内徳洲会病院(鹿児島県)薬剤部の発表が3位になったことを紹介したうえで、「今回は多様なテーマがそろっていますので、皆さんの収穫になる内容が聞けると思います」と挨拶。15題の一般演題の発表と2題の教育講演を行った。

一般演題のテーマは多剤服用の調整、医師との連携、業務改善、事例報告など多岐に渡った。瀬戸内病院は徳洲会グループ第2回QI大会と同テーマとなる「Drug Related Problems(DRP)の考えを取り入れた病棟業務改善」を発表。離島でも質の高い標準的な業務を実現するために、薬剤師の日常業務を明確な行動目標として示したDRPを導入した取り組みを紹介。QI大会での発表時よりも事例を増やし実践に即した内容で、質疑応答も活発に行った。

ほかに盛り上がりを見せた演題が、中部徳洲会病院(沖縄県)が発表した「熊本地震における災害支援活動」。1日に1回しか物品が届かないため、ニーズを先読みした薬品管理能力が必要とされる状況のなか、離島・へき地での応援経験者が多い薬剤師がNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)の隊員として能力を発揮できたことなどを報告。同様の経験をした参加者らも持論を展開、災害支援での薬剤師の必要性を共有した。

福井薬局長は糖尿病領域での薬剤師の役割について説明 福井薬局長は糖尿病領域での薬剤師の役割について説明

教育講演ではまず、千葉徳洲会病院の福井宗憲薬局長が「薬剤師も知ってほしい糖尿病治療の基礎知識」をテーマに講演。糖尿病領域での薬剤師の専門資格として、日本糖尿病療養指導士、日本くすりと糖尿病学会の認定薬剤師制度を紹介。福井薬局長は両資格を有している。同院では患者さんへのインスリン自己注射や血糖自己測定(SMBG)の手技指導を薬剤師が実施、糖尿病教室や医療講演なども積極的に開催していると報告した。

また同院が実施した「外来通院中の2型糖尿病患者における薬剤師の関わり方の検討」というテーマの研究内容も説明。これによると半数以上の患者さんが薬剤師に糖尿病の相談をしたいと答えており、求める内容では処方提案がトップに挙がった。「糖尿病の治療満足度の向上には薬剤師の積極的な介入が必要であり、薬剤師外来が有効と考えられます」と強調した。

さらに、糖尿病とがんの関係にも言及した。糖尿病とがんには、加齢、肥満、喫煙など共通のリスク因子が多数あることを指摘。高血糖では抗がん剤が効きにくくなる可能性があることも示唆したうえで、「糖尿病の管理は、がん支持療法の一部です」とまとめた。

田中取締役の講演では参加者がスマートフォンを操作しながら聴講 田中取締役の講演では参加者がスマートフォンを操作しながら聴講

もうひとつの教育講演では、ニプロの田中良子取締役が2018年度診療報酬改定のポイントを解説。改定の基本的視点として①地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進、②新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実、③医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進、④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―を挙げ、具体的な方向性を示した。

さらに田中取締役は現場で役立つ医薬品情報検索サイトを紹介。参加者は実際にスマートフォンを片手に紹介されたサイトを閲覧しながら活用法を学んだ。

最後に中部徳洲会病院の喜多洋嗣・薬剤部長が挨拶。「当研究会も5回目を迎え、幅広い演題が出されるようになりました。徳洲会のスケールメリットを生かし、データを蓄積し、知識を共有していくことが大切ですので、来年も興味深い演題を期待しています」と継続を誓い、閉会した。

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