徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)3月5日 月曜日 徳洲新聞 NO.1123 四面

JMIP認証を取得
外国人患者さん“安心”受診
吹田徳洲会病院

吹田徳洲会病院(大阪府)は外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の認証を取得した。JMIPは国際的に高い評価を得ている日本の医療サービスを、外国人が安心・安全、円滑に受けられる体制の構築を推進するために設けられた第三者認証制度。認証を得るには多言語対応の体制整備、患者さんの宗教・習慣の違いを考慮した対応など条件を満たす必要がある。JMIP認証の取得は徳洲会グループで計10病院に拡大(福岡徳洲会病院が同時取得)。

徳洲会グループ10病院に拡大

「外国人患者さんの受け入れは地域の基幹病院として必要な取り組み」と金香院長 「外国人患者さんの受け入れは地域の基幹病院として必要な取り組み」と金香院長

2014年7月に開院した吹田病院は、同年12月に外国人患者さんの受け入れ窓口として中心的な役割を担う国際医療支援室を設置。病院の設計段階から外国人患者さんの増加を見据え、院内の各種案内板の多言語化を図り、英語と中国語・韓国語に対応。ホームページも英語版と中国語版を用意した。ハラール食(イスラム教の戒律に適合した食品)やベジタリアン食にも専門の配食サービスを利用している。

同室には英語、中国語に対応可能なスタッフが在籍。他部署にも、たとえばインドネシア語を話せるスタッフがいたり、中国人の看護師がいたりすることから、必要に応じて連携。また、予約来院する外国人患者・健診受診者さんに対しては医療通訳の派遣サービスを適宜用いている。

徳洲会グループのJMIP取得病院

病院名 所在地
湘南鎌倉総合病院 神奈川県鎌倉市
千葉西総合病院 千葉県松戸市
札幌東徳洲会病院 北海道札幌市
岸和田徳洲会病院 大阪府岸和田市
南部徳洲会病院 沖縄県島尻郡八重瀬町
東京西徳洲会病院 東京都昭島市
湘南藤沢徳洲会病院 神奈川県藤沢市
中部徳洲会病院 沖縄県中頭郡北中城村
吹田徳洲会病院 大阪府吹田市
福岡徳洲会病院 福岡県春日市
金香充範院長は「当院のある吹田市周辺には大学が複数あり、教職員や留学生の外国人が多く、もともと地域に根付いている在日外国人の方々もたくさんいます。さらに近年は海外からの観光客も増えています。そのため、救急搬送やお産などでも外国人の方を受け入れる機会が自然と増えています」と説明。

続けて「今後も増加が見込まれることから、外国人患者さんの受け入れ体制の整備を対外的に周知すると同時に、『特別なことを行っているのではなく、地域の基幹病院として必要な取り組み』という意識を、全職員がもてるようになるためのきっかけづくりとして取得しました」と説明する。

取材で訪れた日は、上海など中国の都市から4人の健診受診者が来院。国内観光を楽しみ医療サービスも利用するメディカルツーリズムだ。今年1月には同院2階に国際医療支援室の専用カウンターや待ち時間を過ごすラウンジを設けた。そのカウンターの奥で中国出身の王雍偉チーフが受診者さんに対応していた。

国際医療支援室の専用カウンターで外国人患者さんに対応(左が王職員) 国際医療支援室の専用カウンターで外国人患者さんに対応(左が王職員)

同院はJMIP認証取得以前にも、17年2月に厚生労働省補助金事業「医療機関における外国人患者受入れ環境整備事業」の実施団体として選定。これは外国人患者さんが安心して医療サービスを受けられる環境整備の一環として、医療通訳や外国人向け医療コーディネーターの配置、院内資料などの多言語化に対し、費用の一定割合を国が補助するというもの。吹田病院はその補助対象病院のひとつに選ばれた。

補助金を活用し、通訳機能をもつタブレット端末を導入。端末を通じ、外部のオペレーターを介した通訳サービス(英語、中国語、韓国語、タイ語に対応)や、端末のみで完結できる通訳ソフト(主要言語のほとんどに対応)を利用。時間を問わず患者さんを診る機会の多い救急外来で主に問診などに活用している。

救急外来では、外国人患者さんとの意思疎通を補助するツールも用意。「胸が痛い」、「腹痛」、「吐き気」など症状を確認するための複数言語対応表(英語、中国語、韓国語、ポルトガル語)を備え付けている。

救急外来で活用している通訳タブレット端末と意思疎通のための複数言語対応表 救急外来で活用している通訳タブレット端末と意思疎通のための複数言語対応表

他の病棟でも、外国語版の入院時説明文書や、各国の文化の違いなどに配慮した接遇を行うための対応マニュアルなどを整備し、受け入れ態勢の質の向上に努めている。

このほか院外から医療通訳の講師を招き、勉強会を開くなどスキルアップの機会を設けている。

「徳洲会は“断らない医療”が原則です。日本人であれ外国人であれ、すべての患者さんを受け入れられる病院にしていきたい」と植嶋敏郎・事務部長。来院する外国人患者さんは増加傾向で、以前は健診や人間ドックの受診が多かったが、昨年からは、がん治療を受けに中国から来院する患者さんが増えているという。

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