徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

仲道 孝次(なかみちこうじ)(宇和島徳洲会病院院長(愛媛県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

仲道 孝次(なかみちこうじ)

宇和島徳洲会病院院長(愛媛県)

2018年(平成30年)3月5日 月曜日 徳洲新聞 NO.1123

グループのスケールメリット生かし
大学病院に劣らぬ研修システム構築
自然豊かな宇和島で内視鏡教育を充実へ

宇和島徳洲会病院の院長に1月1日付で就任しました。万波誠(まんなみまこと)・副院長兼泌尿器科部長の腎移植、貞島博通(さだしまひろみち)総長の目指す地域医療に加え、三本目の矢として内視鏡研修施設を設けます。

私は25年前、岸和田徳洲会病院(大阪府)の廣岡大司(ひろおかたかし)院長(当時)に2年間、内視鏡を教えていただきました。福岡徳洲会病院に帰り、さらに経験を積み、10年間で大腸内視鏡検査1万件の経験をもとに、研修医に挿入法をマンツーマンで伝授。教育が難しい分野ですが、言語化し、パターン化して教えることで、自分が成長した速度の数倍の勢いで、研修医は成長します。教えることがうまくなると、さらに多くの方々にお教えしたくなります。そんな時、友人に「ブログを書いて、もし好評なら本にしたら」と提案されました。

当時の部下だった二ノ坂建史(にのさかたけし)医師の指導で、『NACK(ナック)(私のハンドルネーム)の大腸内視鏡講座』という研修用のブログを始め、読者は最高で1000人近くに上りました。読者の意見のなかには「このテクニックを生み出すために費やした先生の努力を思うと涙が出ます」とあり、感激したものです。

1年後、読者から書籍化の要望が出ました。出版社の心当たりはなく、目の前にあった研修医のテキストを発行している出版社に飛び込みで電話をし、書籍化の依頼をしたところ、幸いにもOKが出ました。編集者の意見では、クオリティーが高いとの評価で、2011年8月に出版されました。

「合格点以上の医師を育成し離島へ」との前理事長の言葉

徳田虎雄・徳洲会前理事長に10年以上前にお会いした時、「そんなに内視鏡を教えるのが好きなら、早く合格点以上の医師を育成して、どんどん南の島へ送り込みなさい」と熱いご教示をいただいたことがありました。前理事長に書籍完成報告のため、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の部屋に本をお持ちした時、大変喜んでいただいたことを思い出します。拙著『ひとりで学ぶ大腸内視鏡挿入法』(羊土社刊)は7年経過した現在も、ベストセラーとして好評です。

当院の池田佳広(よしひろ)前院長の功績で、経営が安定しているため、内視鏡研修施設を完備していただく運びとなりました。大腸内視鏡検査のサポートを目的としたコロナビシステム(磁界を利用し検査中のスコープの形状を表示する内視鏡挿入形状観測装置)、挿入困難の際の特殊スコープ、ダブルバルーン小腸内視鏡、シングルバルーン小腸内視鏡、処置用小腸内視鏡、カプセル内視鏡、超音波内視鏡など鈴木隆夫・徳洲会理事長のご配慮で、教育に必要と考えられる設備がすべて入る予定です。

また、ENDO CLUB(エンド クラブ)(徳洲会消化器内視鏡部会)が09年に発足、全国の徳洲会病院の消化器内科医が年1回開催の勉強会に参加しています。過去には研修システムが十分でないため、優秀な医師が後期研修の際、徳洲会グループを離れていくこともありました。そこでENDO CLUBを創立しグループ内での研修システムを充実させることにしたのです。今ではそれぞれの病院の強みを生かし、特徴ある研修を行っています。札幌東徳洲会病院のIBD(炎症性腸疾患)研修、湘南鎌倉病院のERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)およびEUS(超音波内視鏡)研修、岸和田病院のESD(内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術)研修、そして福岡病院の大腸内視鏡挿入法の研修などです。

離島医療でも内視鏡手技は要 救急治療求める患者さん多く

グループのスケールメリットを生かし、大学病院に勝るとも劣らない臨床研修システムを構築したいと思います。福岡病院の大腸内視鏡研修も、複数の病院で導入していただき、グループ外からも消化器内科医、総合内科医、外科医、救急医などに研修に来ていただいています。

離島の診療でも内視鏡検査は必要な手技です。吐血や下血などの緊急内視鏡検査や、胆石による急性胆管炎のドレナージ術など、救急治療が必要な患者さんは少なくありません。現状ではヘリ搬送の要請が必要か否かの判断を迫られたり、保存療法を行ったりしているのが実情。

宇和島病院での研修では内視鏡検査や治療を、安全に、確実に、正確に、快適に、そして短時間で、できるようにするのが目標です。長時間の研修は難しいと思われている先生方に最適です。ぜひ自然豊かな宇和島、人情に熱い宇和島にいらしてください。皆で頑張りましょう。

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