徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)2月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1120 四面

読み解く・読み得“紙上医療講演” ⑪
気管支喘息は適切に吸入

今回は「気管支喘息(ぜんそく)」がテーマです。気管支喘息は気道の慢性炎症による喘鳴(ぜんめい)、咳嗽(がいそう)、呼吸困難を引き起こし、QOL(生活の質)の低下を招くだけでなく、重度の場合は窒息死に至る恐れもあります。治療は吸入ステロイドが一般的で、薬剤そのものに加え、吸入方法も多数あります。疾患の特徴や治療法などについて、東京西徳洲会病院健康管理センターの鈴木由美子医師が解説します。

鈴木由美子・健康管理センター医師 東京西徳洲会病院 鈴木由美子・健康管理センター医師 東京西徳洲会病院

気管支喘息は好酸球(白血球の一種)を主体とする気道の慢性炎症により引き起こされます。炎症を起こしている気道は軽度の刺激でも反応しやすく、粘膜がむくみ、気管支平滑筋(気管支のまわりにある筋肉)が収縮し、気道が狭くなることにより、息苦しさや咳(せき)、痰(たん)を生じます。夜間から明け方にかけ、咳や喘鳴が出やすく、運動により悪化することがあり、風邪をひいた後に咳が長引くことがあります。大人になってから発症することもあります。

また、アレルギーやアレルギー以外の原因、たとえばストレス、天候、温度差、ウイルス、喫煙、飲酒などが誘因となることがわかっています。症状がしばらく出ないと、治ったと思いがちですが、実際には気道の炎症は持続しており、注意が必要です。

気管支喘息は血液検査や呼吸機能検査、喀痰(かくたん)検査、呼気一酸化窒素などにもとづき診断します。ふだんの生活では誘因となるハウスダストやダニ、動物、花粉などアレルギーとなる物質をできるだけ避けることが重要です。治療法としては内服、吸入、貼付剤、注射がありますが、現在は吸入ステロイド療法が一般的な治療法です。

吸入ステロイドの一例(左がエアゾールタイプ、右がドライパウダータイプの吸入器) 吸入ステロイドの一例(左がエアゾールタイプ、右がドライパウダータイプの吸入器)

同療法は1970年代に登場した後、しばらく普及しませんでした。医師も患者さんも症状のない時にステロイドを使用することをためらい、発作時にのみ気管支拡張剤や全身ステロイドを内服することが一般的でした。しかし、発作時に気管支拡張剤を頻回使用することにより、不整脈の出現や突然死が報告され、1990年代から吸入ステロイドによる予防治療が見直されたのです。

登場当時の吸入ステロイドは1日4回使用する必要があり不便でしたが、近年は1日1回でよいものも発売されています。こうしたことにより、喘息死や、発作で仕事や学校を休む人が少なくなり、本人に限らず家族の生活も改善され、適切に吸入薬を続けることで、健康な人と同じような生活を送ることが可能になりました。

吸入療法は内服と異なり、直接肺に作用するため、全身への副作用が少ないのが特徴です。吸入には予防薬と発作薬があり、エアゾール(薬液を噴霧して吸入)、ドライパウダー(吸入口から粉末の薬剤を吸い込む)、ネブライザー(薬液を霧状にして吸入)など、さまざまなタイプがあります。同じ吸入器でも使用する人の年齢や身体状況により、うまく吸えないことがあり、効果にばらつきが出るため、必要に応じて吸入補助器具を使用します。主治医とともに使いやすい吸入器を探すことが大切です。

指示された容量を正しい吸入方法で毎日吸入することが肝要です。とくに重症の患者さんが自己判断でやめてしまうと、気管支のリモデリング(気道の炎症が進行して気道壁が厚く硬くなる)が起こり危険です。症状が安定してくれば、医師と相談しながら徐々に減薬していくことも可能です。

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