徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)2月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1120 三面

遠隔集中治療
進むICTを活用
横浜市立大学附属病院
髙木講師が解説

徳洲会グループは2月3日から2日間、千葉県で1月度医療経営戦略セミナーを開いた。2日目に横浜市立大学附属病院集中治療部の髙木俊介講師(同大学附属病院総医局長)が「日本版 遠隔集中治療の構築に関する課題と展望」と題して講演。先進事例として米国の様子を紹介しながら、日本で遠隔集中治療を実施する際の課題などを示した。

米国や自院の例を交え解説する髙木講師 米国や自院の例を交え解説する髙木講師

髙木講師は冒頭「遠隔集中治療の発祥はアメリカ」とし、米国の遠隔集中治療システムの様子を紹介。2000年頃から質の向上やスタッフのワーク・ライフ・バランスの是正を目的に導入した遠隔集中治療システム「Tele - ICU」について説明した。

同システムはネットワークで4~5病院の電子カルテ、生体情報モニター、画像情報などをつなぎ、民間企業が運営するコントロールセンターで各施設のICU(集中治療室)患者さん(100人程度)を24時間365日観察。

同センターに勤務する医師、日本の集中ケア認定看護師に相当する看護師などが必要に応じて現場の医療従事者にアドバイスする。具体的には心臓や中枢神経、感染、呼吸など患者さんの状態をコンピュータが毎日点数化し、とくに診るべき患者さんを抽出。同センターが現在の治療プランなどをチェックして治療に介入していく。

同システムに関する論文もあり、導入後、ICU患者さんの予後の改善、合併症の軽減、ICUの平均在室日数の短縮、社会復帰率の上昇など成果を報告。髙木講師はTele - ICUの利点として、安全管理(コントロールセンターと各病院のダブルチェック)やスタッフ教育などを挙げ、なかでも切れ目のないサポート体制や医療コストの削減、ビッグデータの管理などを強調した。

現在、全米の約300病院が導入。コントロールセンターは40カ所以上で、30万人程の患者さんが同システムの治療介入を受けている。年々、導入施設、患者さんの数が増えていることから、「今後も拡大していくと予想されます」と示唆した。

日本でも政府主導で遠隔医療が進む状況を説明。一部の診療科や地域で、すでに実施している例を披露し、「遠隔集中治療も進む」と明言。自院で重症化を予測し介入すべき患者さんを選出するシステムの構築に取り組んでいる様子を示した。

ただし、日本で遠隔集中治療が普及するには、①コントロールセンターと現場との関係構築(責任の所在や人間関係)、②集中治療を専門とする医師や看護師の不足、③ICUの病床の少なさ(一定規模の患者さんをまとめて管理するには数十施設がネットワークに参画しなければならない)、④財源(設備投資や維持費をどこが負担するのか)、⑤個人情報保護に対する厳格な社会風土――など、さまざまなハードルがある点を指摘。

加えて、今後システムを築くには、ビッグデータ化に適したプラットフォームの構築、病院間の電子カルテ・重症系部門システムの統一化、機械学習に向けたデータサイエンティストの育成、個人情報の秘匿とネットワークのセキュリティー向上を課題に挙げた。

それでも髙木講師は「遠隔医療はヘルスケア分野で大きなトピック」とし、「徳洲会のような大きなグループがスケールメリットを生かして、先頭に立って築いていかれることを期待しています」。

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