徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)2月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1120 一・二面

徳洲会グループ第2回QI大会
質向上や業務改善の成果共有
中部徳洲会病院が1位に輝く

徳洲会グループは2月3日、第2回QI(Quality Improvement / Indicator)大会を開催した。同大会は医療の質向上や業務改善の推進を目的に、2015年に開始したTQM(Tokushukai/Total Quality Management =徳洲会グループ医療の質管理)プロジェクトの一環。日頃の活動成果を共有することで、グループ全体の底上げを図るのが目的だ。今回は全国の徳洲会病院・介護施設から102演題の応募があり、審査を経て10演題を選出。当日、各施設が発表し、参加者による投票の末、中部徳洲会病院(沖縄県)が1位に輝いた。

102演題から厳選10題発表

第2回徳洲会グループQI 大会演題一覧

順位 演題 施設名
1 NEWS を運用して
〜院内心肺停止率の減少を目指して
中部徳洲会病院
2 褥瘡院内発生ゼロを目指して
〜褥瘡発生リスクの高い障害者病棟での取り組み〜
大和青洲病院
3 病棟薬剤管理指導実施率の向上と評価
〜薬剤関連問題(Drug Related Problems)の考えを取り入れた病棟業務改善〜
瀬戸内徳洲会病院
4 結核患者早期発見への検査室での取り組み 八尾徳洲会総合病院
5 クリニカルパス作成数・適用率の向上をめざして(医療の標準化と平均在院日数低減) 湘南藤沢徳洲会病院
6 病棟運営会議による効率的な入院医療 宇治徳洲会病院
7 院内急変対応システム(RRS)について 出雲徳洲会病院
8 集中治療室における理学療法士の専従配置が入院経過に及ぼす影響〜内科的管理を主体とする入室患者での検討〜 湘南鎌倉総合病院
9 PICC によるカテーテル関連血流感染症低減 札幌東徳洲会病院
10 療養病床での抗生物質限定使用による医療費削減の試み 白根徳洲会病院
今回は改善指標の統一を試みたり、提出形式を充実させたりするなど、さらにブラッシュアップ。応募演題の数も前回を上回り100を超えた。審査を経て10演題を選出、3日に10施設がそれぞれの改善策や考察などを発表。今回も終了後に会場の参加者による投票を行い、表彰を行った。

大会の冒頭、QI担当の東上震一・医療法人徳洲会副理事長は「他院の改善の取り組みは参考になります。昨年よりも専門的な内容が多く、テーマの切り口がシャープなものばかり。ぜひ参考にしてください」と開会の挨拶。TQM事務局を務める海老澤健太係長は「同じチームで経験値を重ねることで生産性が上がり、そこから質も向上することが統計的にも示されています。医療の質には職員満足度向上や離職率の低減も重要です」と職員目線の指標も強調した。

すべての演題発表後、鈴木隆夫理事長は開口一番、「前回よりも、はるかに進化している」と驚いた様子で総括。「質の高い医療を提供しようという皆さんの真心が伝わって、嬉しく感じました」と喜びをあらわにし、「今後も患者さんのために何ができるかを自問自答しながらQI大会を進め、“徳洲会の医療は世界一”と言われるように進化していただきたい」と締めくくった。以下、表彰順位ごとに概要を紹介する。

NEWSでIHCA率減 中部徳洲会病院(沖縄県)

表彰式で1 位に選ばれ「沖縄にいる皆と喜びを分かち合いたい」と親泊看護師(左) 表彰式で1 位に選ばれ「沖縄にいる皆と喜びを分かち合いたい」と親泊看護師(左)

仲宗根憂看護師と親泊翔平看護師が「NEWSを運用して~院内心肺停止率の減少を目指して~」と題し発表。2012年に導入した患者さんの急変を予測するツールMEWS(修正早期警戒スコア)と、17年4月に変更したNEWS(英国国営医療制度で作成された早期警戒スコア)で、IHCA(予期せぬ院内心肺停止)率を比較検討した。

結果、MEWS導入時のIHCA率は2.56%、NEWS導入時は1.46%と減少傾向ではあるものの有意差は見られなかった。減少した理由、改善策などを考察したうえで、「今後もNEWSのデータ収集を継続していきます。QI指標としてIHCA率を算出し各病院で比較してみてはいかがでしょう」と提案した。

表彰式で1位となり、親泊看護師は「研究に携わったスタッフの皆さんにも報告し、今後もデータを積み重ねていきたいです」と喜びの声。伊波潔院長は「NEWSを導入した時も現場はスムーズに対応してくれました。こうした賞は励みになります」と感謝の気持ちを表した。

褥瘡発生率0%へ 大和青洲病院(神奈川県)

大和青洲病院の西田看護師は「グループの素晴らしさを実感しました」と列席者に謝意 大和青洲病院の西田看護師は「グループの素晴らしさを実感しました」と列席者に謝意

西田博子看護師と半田純江看護師が「褥瘡(じょくそう)院内発生ゼロを目指して~褥瘡発生リスクの高い障害者病棟での取り組み~」をテーマに発表。15年5月、徳洲会グループの褥瘡発生率調査で自院がグループ病院で最も悪い結果だったことから、障害者病棟での褥瘡発生率0%を目指して体制整備を図ったことを報告した。

具体的には、褥瘡委員会の強化やマニュアルの新規作成、危険因子の評価と診療計画書の整備、褥瘡回診の実施、スキンケア用品の導入などを行うと同時に、看護ケアについても見直し、ケア方法の統一や、各部署との連携を図ったり、勉強会を実施したりした。その結果、褥瘡発生率は低減。昨年4月以降は目標の0%で経過していることを示した。

表彰式で清水正法院長は「職員間の意識の共有」を成果の要因として指摘。西田看護師は「グループ病院の皮膚・排泄(はいせつ)ケア認定看護師に相談できる環境も励みになりました」と話し、「連携できる徳洲会の素晴らしさをあらためて実感しました」と感謝の言葉を口にした。

DRPを用いた業務改善 瀬戸内徳洲会病院(鹿児島県)

「離島でも質の良い医療を提供するためサポートします」と瀬戸内病院の宮坂・副薬局長(左) 「離島でも質の良い医療を提供するためサポートします」と瀬戸内病院の宮坂・副薬局長(左)

宮坂善之・副薬局長は「病棟薬剤管理指導実施率の向上と評価~薬剤関連問題(Drug Related Problems:DRP)の考えを取り入れた病棟業務改善~」がテーマ。

DRPには薬剤師の日常業務が明確な行動目標として示されており、情報共有と整理が容易に行える。同院では常勤薬剤師2人体制になった17年4月から、離島でも質の高い標準的な業務を実施できるようにDRPを取り入れた。

結果、9月から服薬指導件数と服薬指導率が上昇。入院患者さんの多剤服用の調整にも積極的に介入できたことから、「DRPの活用により薬剤師同士や医師との情報共有が容易となった結果だと思われます」と報告した。

表彰式で宮坂・副薬局長は「離島病院だからこそできる薬剤師の役割を考え、チーム医療を進めていきたい」と抱負を語った。

結核患者さんを早期発見 八尾徳洲会総合病院(大阪府)

福田貢・医療法人徳洲会専務理事から表彰状を受け取る八尾病院の前野主任 福田貢・医療法人徳洲会専務理事から表彰状を受け取る八尾病院の前野主任

前野舞・臨床検査科主任(臨床検査技師)が「結核患者早期発見への検査室での取り組み」と題し、自院の取り組みを報告。大阪府の結核罹患(りかん)率は全国で最も高く、自院でも結核患者さんが毎月見つかることから、感染対策室からの要望があり、抗酸菌遺伝子検査の新機器を導入して測定を週2回から毎日へと変更した。従来の方法よりも測定に要する時間や結果が判明するまでの時間が短縮し、結核患者さんの早期発見と在院日数の短縮につながったことを提示した。

表彰式で前野主任は「自分たちの仕事を冷静に振り返る良い機会でした。微力ながら貢献できたことを嬉しく思います」と謙虚に振り返った。

パス作成数と適用率向上 湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)

田畑副主任は「パスを活用して良い医療を効率的に提供できるように今後も努力します」 田畑副主任は「パスを活用して良い医療を効率的に提供できるように今後も努力します」

田畑梨紗・看護副主任は「クリニカルパス作成数・適用率の向上をめざして(医療の標準化と平均在院日数低減)」をテーマに成果を報告。電子カルテシステムのパス統計アプリケーションや徳洲会インフォメーションシステム(TIS)のBI(病院運営管理)ツールなどを活用し、電子クリニカルパス(標準診療計画表)作成システムを構築した結果、年間のパス作成数が増加するとともに、パス適用率も向上。昨年6月からは適用率の目標値を継続して達成していることも明かした。

田畑副主任は、過去の同一症例群の蓄積データを分析することで同システムが作成できるという特徴から、パス作成に必要なオーダーやケアの内容が効率的に抽出・決定できることを強調。多職種とコミュニケーションを図る時間を短縮できたことで、パス作成時間の短縮にもつながったことをアピール。

多職種で病棟運営会議 宇治徳洲会病院(京都府)

片原奈穂・医事課職員は「病棟運営会議による効率的な入院医療」がテーマ。DPC(診断群分類別包括評価)データは自院の抱える問題点をリサーチし、その問題解決のツールとして用いることができる。そこでDPCデータを分析し、診療科別・多職種参加型の病棟運営会議を実施することで、平均在院日数の短縮を図りながら病床稼働率の改善を試みた。

同会議で患者さんの治療状況や長期入院となっている要因を把握し共有、多職種との連携がスムーズとなり退院促進が行いやすくなった点を強調。結果、17年1~8月の在院日数が1年前の同時期に比べ短縮、長期入院患者さんの減少、日当点の増加を実現した。「DPCデータの分析業務は病院運営を考えるうえで必須です」とまとめた。

予想しない死亡を防ぐ 出雲徳洲会病院(島根県)

佐藤博・内科部長は「院内急変対応システム(RRS)について」を発表。医師、看護師の少ない同院にRRSを導入することで、患者さんの重症化や予想しない死亡(状態悪化に関する病状説明がない状況での死亡)を防ぐことを目的とした。

結果、導入前の11年に比べ、12~16年は予想しない死亡数が経年的に減少。「バイタルサイン(生命兆候)の異常という客観的な指標で起動するRRSは、救急医や集中治療医が不在の環境でも十分に継続が可能なシステムであると考えられます」と説明した。

ICUのPT専従配置 湘南鎌倉総合病院(神奈川県)

出雲病院と同じ得票数で7位。南條恵悟・理学療法士(PT)は「集中治療室における理学療法士の専従配置が入院経過に及ぼす影響~内科的管理を主体とする入室患者での検討~」と題し報告した。湘南鎌倉病院は16年7月からICU(集中治療室)にPT1人を専従で配置。内科的な治療をメインとするICU患者さんの入院経過を専従配置の前後で比較した結果、配置後は離床までの期間が約1日短縮したことなどから、専従配置が内科的ICU患者さんの歩行能力低下の防止や在院日数の短縮化にも影響する可能性を指摘した。

NPによるPICC挿入 札幌東徳洲会病院

桝田佳枝・診療看護師(NP)が「PICCによるカテーテル関連血流感染症低減」と題し発表。札幌東病院は16年からNPによるPICC(末梢(まっしょう)挿入式中心静脈カテーテル)挿入を開始。対象者は免疫力の低下により感染しやすい状態であるため、CLABSI(中心静脈カテーテル関連血流感染症)の予防に取り組んだ。半年間で1件のCLABSIが発生したものの、NHSN(全米医療安全ネットワーク)のベンチマークを下回る結果だったことを報告。

抗生物質の限定使用 白根徳洲会病院(山梨県)

石川真院長は「療養病床での抗生物質限定使用による医療費削減の試み」がテーマ。療養病棟でのカテーテル長期留置による発熱患者さんに対し、従前より抗生剤の処方を限定しても治療効果に変わりはなく、「医療費の削減効果をもたらした」と強調。カテーテル挿入部の消毒処置の回数増加やカテーテル素材の変更は、感染予防として著名な効果が得られなかったことから、「今後は感染予防の新たな対策が必要」と課題を示した。

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