徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)9月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1098 三面

症例共有し質アップ
徳洲会小児科部会
第8回発表会を開催

徳洲会小児科部会は7月15日から2日間、南部徳洲会病院(沖縄県)で第8回症例発表会を開催した。6病院から小児科医や初期研修医をはじめ、産婦人科医やリハビリテーション科医も参加、計23人が研鑽(けんさん)を積んだ。初日は赤ちゃんの生活習慣病予防をテーマに沖縄県立中部病院ハワイ大学卒後医学臨床研修事業団の安次嶺馨ディレクターが特別講演。2日目に10演題の症例発表を実施。症例の共有を通じて診療レベルの向上を図ったり、参加者同士で交流を深めたりし充実した2日間を送った。

小児科医や初期研修医を中心に23人の医師が研鑽 小児科医や初期研修医を中心に23人の医師が研鑽

初日の冒頭、徳洲会小児科部会の部会長を務める新里勇二・中部徳洲会病院副院長兼小児科部長と、南部病院の今西康次・小児科部長が開会の挨拶。新里副院長は2日間のスケジュールを説明し「今回で第8回を数え、昨年の中部徳洲会病院に続き、2年連続で沖縄での開催となります。特別講演の演者である安次嶺先生は沖縄の小児医療界のトップランナーです。有意義な2日間を過ごしてください」と呼びかけた。

安次嶺ディレクターは「赤ちゃんから始める生活習慣病の予防とDOHaD」と題して講演。DOHaDは、Developmental Origins of Health and Disease の略語で、胎児期や乳幼児期の生活環境と遺伝子の相互作用が、成長後の健康や疾病の発症に影響を与えるという概念を指す。

安次嶺ディレクターはWHO(世界保健機関)の2015年のデータを引用し、「毎年、世界中で3800万人が生活習慣病で死んでいます。喫煙、不活動、多量のアルコール摂取、不健康な食事などが主なリスク因子です」と指摘。

続けてDOHaD学説の発展の歴史をひもとき、DOHaDに関するさまざまな疫学調査を紹介。環境因子が遺伝子の働きを変化させ、結果として疾患の発症リスクが高まることなどを説明するエピジェネティクス(epigenetics)にも言及した。

赤ちゃんから始める生活習慣病予防のポイントとして、安次嶺ディレクターは「母乳」と「タバコ」の2つを挙げた。

開会の挨拶を行う新里副院長 開会の挨拶を行う新里副院長

「母乳は多くの免疫物質を含み赤ちゃんを感染から守ります。母乳は最初の経口予防接種と言えます。また、受動喫煙によって喘息発作や気管支炎、アトピー性皮膚炎、肺炎など、さまざまな疾患の増加が指摘されています。子どもの受動喫煙は、大人の無知と思いやりのなさによる児童虐待と言えます。母乳を飲み、タバコの被害を受けない胎児・子どもの人権の尊重を啓発することが重要です」と強調。

最後に「小児科医は急性疾患や感染予防に加え、妊婦の生活習慣や母乳栄養、児の受動喫煙、能動喫煙の予防などにも時間とエネルギーを使うことが求められています」と呼びかけた。

症例発表会は、前半の座長を今西部長が、後半を中部徳洲会病院小児科の新開敬医師が担当。感染症から外傷まで多様な症例の発表があった。

発表した10人のうち9人が初期研修医。日々の診療実績のなかから教育的効果の高い症例をもち寄り、参加者全員で共有した。

症例を共有し診療レベルの向上に尽力 症例を共有し診療レベルの向上に尽力

宇治徳洲会病院(京都府)の脇田文・初期研修医は「ワクチン接種後の侵襲性肺炎球菌感染症の1例」をテーマに発表。福岡徳洲会病院の土持晧平・初期研修医は「菌血症を合併した急性巣状細菌性腎炎(AFBN)の3例」について報告。千葉西総合病院の渡邊泰二郎・初期研修医は「腸重積整復後にサルモネラ菌血症と判明した一例」、宇治病院の鈴木雅大・初期研修医は「抗生剤投与で軽快した咽後膿瘍(いんごのうよう)の1例」をテーマにそれぞれ発表した。

また、中部徳洲会病院小児科の岡崎友理子医師は「ステロイド依存性重症IgA血管炎の一例」と題し発表。続いて湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の石黒昴・初期研修医は「軽症頭部外傷後、頭部CT検査で診断した硬膜外血腫の一例」、福岡病院の廣川創太・初期研修医は「当初、メトクロプラミド中毒が疑われたmild encephalitis / encephalopathy with reversible splenial lesion(MERS)」をテーマに発表した。

千葉西病院の高瀬章弘・初期研修医は「重症心身障害児における停留精巣に対する手術適応と時期について」、湘南鎌倉病院の細川旬・初期研修医は「骨・関節部病変を疑ってMRIを施行した1例」、福岡病院の深川雄太・初期研修医は「副咽頭間隙(ふくいんとうかんげき)に腫瘤性病変を認めた男児例」と題しそれぞれ報告した。

各症例発表の後には活発な質疑応答も行われ、会場は一杯の熱気に包まれていた。

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