徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)9月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1098 四面

徳洲会グループ救急部会
ヘリ搬送などテーマに議論
第7回ERCCMフォーラム

徳洲会グループ救急部会(TKG)は7月8日から2日間、武蔵野徳洲会病院(東京都)で第7回ERCCMフォーラムを開催した。これはTKG独自の学術集会で、今回のテーマは「ヘリコプター利用の現況」。全国から12病院30人が参加、救急現場での診断・治療など多様な情報を共有し、活発に議論を展開した。

救急科医師や看護師、薬剤師などが集まり研鑽 救急科医師や看護師、薬剤師などが集まり研鑽

ERCCMとは、ER(救急外来)とCCM(救命救急医療)をかけ合わせた造語。同フォーラムはTKGが発足した2014年から年2回程度開催している。今回は徳洲会8病院から10演題が発表された。

冒頭、幹事である武蔵野病院の阪本敏久・副院長兼救急科部長が「同じグループ内なので遠慮せず活発な議論を交わしましょう」と挨拶し開会。

活発な議論を呼びかける幹事の阪本副院長 活発な議論を呼びかける幹事の阪本副院長

沖永良部徳洲会病院(鹿児島県)の金城直哉・看護師長は「離島医療における救急患者のヘリ搬送の現状」をテーマに発表。沖永良部島にある病院は同院のみ。対応困難な症例は島外の医療機関へ搬送しており、これまで沖縄県ドクターヘリと自衛隊ヘリに依頼していた。16年12月から奄美ドクターヘリの運用が開始されたことで、病院から出発するまでの時間が大幅に短縮。

「これまで沖縄県を主な搬送先としてきましたが、奄美大島や鹿児島本土も搬送先の候補となり、提供する医療の質の担保や、患者さんやご家族の意向を考慮した搬送先の決定などが可能になりました」と報告した。

岸和田徳洲会病院(大阪府)の薬師寺泰匡・救急科医長は「岸和田徳洲会病院救命救急センターにおける敗血症性ショックの治療」と題し発表した。同院救命救急センターは、内科三次救急に対する地域の最後の砦(とりで)であると強調。

「今後は離島医療もテーマに」と救急部会長の篠﨑センター長 「今後は離島医療もテーマに」と救急部会長の篠﨑センター長

同演題では13年から4年間の敗血症性ショックの患者さん123例を対象とし、予後の推移を検討した。結果、死亡率は年々低下した。「ERからICU(集中治療室)へのスムーズな治療介入、集中治療の質向上が影響しています」と分析。今後は早期経腸栄養プロトコルの作成などを課題に挙げた。

東京西徳洲会病院の秋本琢磨・歯科口腔(こうくう)外科医長は「ドクターヘリで搬送された四肢外傷を伴う顔面多発骨折の1例」がテーマ。この症例を通じ、高エネルギー外傷患者さんの管理は、正確な患者アセスメント(身体評価)の後、治療の優先順位を見極めることが重要であるとし、とくに「顎(がく)口腔からの出血をともなう外傷には、気管切開を行わない対応が肝要です」と考察した。

札幌東徳洲会病院の松田知倫・救急科部長は「地域連携による〝断らない救急〟の実践」と題し発表。今年1~5月に平均13.8日が満床で、救急受け入れ困難になった状況を受け、①土日に救急科へ入院させた治療中の患者さんの転院、②ERで初期評価を行った後で即日他院に転院、③同じ区に立地している4施設と月1回の会議で密接な連携――という新しい取り組みを始めた。

結果、「救急受け入れ不能を減らすことに成功し、連携施設との会議は円滑な転院、転院数の増加に有用でした」と報告した。

松原徳洲会病院(大阪府)の西山毅・初期研修医(2年目)は「脳卒中と初期診断した特発性脊髄(せきずい)硬膜外血腫の2例」がテーマ。救急外来では、時に片側症状の訴えで搬送された患者さんに、脳卒中と誤診されやすい頚椎(けいつい)疾患が潜んでいると指摘。「詳細な病歴聴取、神経学的所見を取ることにより、頚椎疾患を見逃さないことが重要です」と強調した。

真剣な様子で耳を傾ける参加者たち 真剣な様子で耳を傾ける参加者たち

生駒市立病院(奈良県)の今村正敏院長は「25歳男性の急性大動脈解離」と題し発表した。経験した症例をもとに、若年者の急性大動脈解離の診断の難しさを説明。①若年者は頻度が少ないので見落としがち、②単純CT(コンピュータ断層撮影)では診断困難、③疑った時は家族歴の聴取が必要、④造影CTが必要――と問題提起した。

仙台徳洲会病院の吉田秀一・整形外科部長は「救急医療におけるAIの活用について」がテーマ。電子カルテの診療録データを用い、AI(人工知能)による救急患者さんの受診誘導システムと、救急対応にあたるスタッフ向けの診療補助システムの可能性を検討するため、参加者にアンケートへの協力を呼びかけた。

このほか岸和田病院の白坂渉・救急科医師が「レジオネラLAMP法遺伝子検査の有用性」、東京西病院の萩野貴磨・歯科口腔外科医師が「顎骨骨折をともなう顎顔面の広範囲外傷を審美的さらに機能的に修復した1例」、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の大村史・薬剤部主任が「当院での急性大動脈解離stanford B におけるせん妄に対する抑肝散の使用状況」をテーマにそれぞれ発表した。

最後に、救急部会長の篠﨑正博・岸和田病院救命救急センター長が挨拶した。「今後は離島での活動も報告していければ良いと思います。参加できない離島病院のために、WEBでの配信も含め検討していきましょう」と展望。また、湘南鎌倉病院の大森俊和・薬剤部副主任が「徳洲会救急・集中治療薬剤師研究会」の発足を報告。「薬剤師の専門性を形あるものにしていきましょう」と参加を呼びかけた。

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