
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)07月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1502 1面
湘南厚木病院(神奈川県)は手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入し、消化器外科領域での使用をスタートした。具体的には大腸がん(結腸がん・直腸がん)の手術をロボット支援下に実施。ダヴィンチを用いることで、低侵襲な内視鏡手術を、より高精度に行うことができ、出血量や術後の疼痛の低減などが期待できる。今後は他の消化器がんにも対象を広げ、泌尿器科や婦人科、呼吸器外科といった他の診療科の手術にもダヴィンチを活用していく方針だ。
「ひとりでも多くの患者さんに貢献したい」と山本部長
徳洲会グループは、患者さんの身体にできるだけ負担の少ない医療を提供するため、先端技術・医療機器を積極的に導入してきた。手術支援ロボットもそのひとつ。導入施設は現在、27病院・34台に上る(表)。
「若い医療者に魅力的な病院づくりを進めるためにも導入」と守矢院長
湘南厚木病院でダヴィンチの執刀医を務める外科の山本孝太部長は「ダヴィンチを用いることで、拡大視野により血管や神経が細かくクリアに見え、手振れも抑えられることなどから、より安全で精度の高い手術の実施が可能です」とアピールする。
ダヴィンチは内視鏡(腹腔鏡など)や鉗子など手術器具を装着する4本のアームをもつペイシェントカートと呼ばれるロボット部分と、これを操作するサージョンコンソール(操作台)などで構成。通常は、おなかに小さな穴を4カ所開け、内視鏡や手術器具を挿入し手術を行う。
「術者条件により手術ができない病院があれば、お手伝いします」と内間部長
術者は拡大された3D画像を見ながら手術する。鉗子の可動域が広く、人の手では困難な屈曲や回転ができる。ぶれの少ない安定した動きで手術が可能なのも特徴。狭い術野でも精緻な低侵襲手術を、より安全に施行できる。
ロボットアームを介して高精度な手術を実施
「結腸がん・直腸がんの手術時間は3〜5時間ほど。入院期間に関しては基本的には7〜10日程度で帰宅可能なレベルまで回復し、リハビリテーションや食事指導などを行いながら、平均すると術後2週間程度での退院が多いです」(山本部長)

日本内視鏡外科学会が策定した指針に沿い、当面はプロクター(指導医)として中部徳洲会病院(沖縄県)の内間恭武・消化器外科部長を招聘し、指導を受けながら山本部長がダヴィンチ手術を実施。内間部長は19年にda Vinci Xi直腸切除術のプロクター、22年に結腸切除術のプロクター、25年にhinotoriとda Vinci SPのプロクターの資格を取得している。
湘南厚木病院以外のグループ病院でもプロクターを務め、消化器外科領域のダヴィンチ手術実施に尽力。これまで岸和田徳洲会病院(大阪府)、八尾徳洲会総合病院(同)、南部徳洲会病院(沖縄県)でプロクターを務め、今後は茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県)でも予定している。
内間部長は「ダヴィンチを保有していても、術者の条件によって消化器領域で手術を実施できない病院があれば、より多くの患者さんにダヴィンチ手術の恩恵を届けられるように、立ち上げからお手伝いしたいと考えています」と思いを語る。
湘南厚木病院はダヴィンチ導入に際して手術室の電源増設など改修を行った。また、新たに院内に高難度医療技術委員会を立ち上げ、手術の適切な実施体制を整備するなど準備を進めてきた。1例目のダヴィンチ手術は5月20日。S状結腸がんの50代女性患者さんで、手術は奏功。以降も毎週1例のペースで、50代から90代と幅広い年代の患者さんに対して手術を施行している。
神奈川県内だけでなく、広島県や沖縄県の宮古島など遠方からも患者さんが来院している。「当院は“無輸血治療外科”を開設していることから、宗教的な理由で輸血を拒否している患者さんの手術を手がける機会が多くあります。ダヴィンチ手術に関しても、無輸血手術を希望される遠方の患者さんが来院されています。当院の肝胆膵外科・無輸血治療外科の川元俊二部長によるバックアップを受けながら手術に臨んでいます」(山本部長)。
守矢英和院長は「消化器領域を対象に外科からダヴィンチ手術を開始しましたが、将来的には泌尿器科や婦人科、呼吸器外科での使用を視野に入れ、有効活用していきたいと考えています。手術支援ロボットの導入施設は全国的に増えていますので、そうした状況をキャッチアップし、患者さんのニーズに適切に応え、同時に若い医療者にとって魅力的な病院づくりを進めていくためにもダヴィンチを導入しました」と説明する。
山本部長は「今後は胃がんや肝胆膵領域の手術にもダヴィンチを用い、消化器領域のなかでの幅を広げていきたいと考えています。そして地域における当院の存在感を高め、外科をもっとアピールし、ひとりでも多くの患者さんに貢献していきたい」と意気軒高だ。