徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)07月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1502 4面

読み解く・読み得 紙上医療講演85
口腔内の異変軽視は禁物

初期は痛みなど症状がほとんどないため、気付いた時には進行した状態で見つかることが多い「口腔がん」。がん全体のなかで占める割合は少ないものの、50歳以降で好発する傾向から、高齢化が進む日本では年間の罹患者数増加が指摘されています。口腔がんは、どんな病気なのか。予防するには、どんなことに注意すれば良いのか。和泉市立総合医療センター(大阪府)の水谷雅英・歯科口腔外科部長が解説します。

和泉市立総合医療センター(大阪府) 水谷雅英・歯科口腔外科部長

口腔がんは口の中にできる悪性腫瘍の総称です。口腔の部位は唇(上口唇・下口唇)や歯茎(上顎歯肉・下顎歯肉)、歯の内側(硬口蓋)、嚥下に関与する筋肉(軟口蓋)、頰の内側(頰粘膜)、舌、舌の下(口腔底)など細かく分かれ、これら見える部分以外にも口を構成する組織として骨(上顎骨・下顎骨)や唾液腺(小唾液腺・大唾液腺)、筋肉、リンパ節などがあり、いずれの場所にも、がんはできます。

口腔がんが進行すると、①食べる(咀嚼、嚥下)、②話す(会話、コミュニケーション)、③表情をつくるといった口の機能が阻害されます。 好発年齢は50代以降で、男女比は3対2と男性に多いのが特徴です。当科でも患者さんの9割が50歳以上、6割が男性です。口腔がんは、がん全体の1~2%程度と少ないものの、高齢化が進む日本では年間の罹患者数が増えていると指摘されています。

「口腔癌診療ガイドライン2023年版」によると、口腔がんの部位別では舌を筆頭に、下顎歯肉、上顎歯肉、頰粘膜、口腔底、硬口蓋などと続き、全体の9割以上が扁平上皮(皮膚や粘膜の表層部分)がんです。

もちろん、突然がんになることはなく、健常な組織が何らかの因子や刺激で分厚くなったり(上皮過形成)、形が変わったり(上皮異形成)して、数年程度かけて、がん化します。上皮過形成と上皮異形成を“前がん状態・病変”と言い、白板症(原因不明の白い斑点)や扁平苔癬(小さく隆起した発疹)といった症状が見られます。

診断は視診や触診を行い、確定するには病理診断(細胞診、組織診)、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像診断)といった画像検査、超音波検査などを行わなければなりません。原発巣、頸部リンパ節、遠隔転移の3つの要素から、がんのステージ(Ⅰ~Ⅳ)を判断することになります。

治療は他のがんと同様、外科療法(手術)、放射線療法、化学療法、最近の免疫療法となり、基本的には「口腔がん治療ガイドライン」に則った標準治療になります。治療の第一選択肢は外科療法になりますが、患者さんの意向なども含め総合的に検討します。

口腔がんの危険因子は喫煙、飲酒が有名ですが、以外と知られていないのが「慢性的な粘膜の刺激」です。虫歯や傾斜・とがった歯、合わない入れ歯などがリスクになります。他にヒトパピローマウィルスの関与を指摘する声もあります。

口腔がんは、口腔が直接目で見ることのできる部位にもかかわらず、初期症状が口内炎など良性疾患と似ているため、発見が遅れるケースが少なくありません。表のような症状がある場合は、早めに、かかりつけの歯科医師に相談することが重要です。その際、歯科医師任せではなく、気になることがあれば積極的に伝えるようにしましょう。また、喫煙者やアルコール常用者、50歳以上の方は、とくにリスクが高いため口腔検診の定期受診をおすすめします。

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