徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)12月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1418 1面

研修医の労働時間算出システム
「医師の働き方改革」で開発へ
徳洲会グループ

徳洲会グループは2024年4月にスタートする「医師の働き方改革」の一環で、電子カルテのアクセス情報をもとに研修医(初期研修医、専攻医)の労働時間を算出するシステムの開発を行う。働き方改革では労働者の健康確保の観点から、客観的な方法により労働時間を把握することが義務付けられた。計画では電子カルテのアクセス情報と、タイムカードから得られた労働時間を照合し実際の労働時間を推定する。まず4~5病院程度の参加を想定。今後、実施病院を決め開始する。

電子カルテへのアクセス情報活用

「電子カルテのアクセス情報は客観的なデータとして役立ちます」と亀井総長

長時間労働の是正や公正な待遇の確保などを目的とした“働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)”が公布されたのは2018年7月。翌19年に大企業、20年に中小企業への適用が開始、順次施行されている。

働き方改革の柱のひとつが「時間外労働の上限規制」だ。医師や建設事業、自動車運転の業務などに関しては、労働環境の抜本的な改善を要するとの理由で、5年間適用が猶予されてきた。今年度で猶予期間が終了し24年4月からスタートする。

医師の時間外労働の上限は年間960時間のA水準に加え、連携B、B、C-1、C-2水準と呼ばれる地域医療確保のために派遣される医師や、集中的に経験を積む必要のある研修医などは年間1,860時間に設定されている。

これまで日本の医療は医師の長時間労働によって支えられてきた。少子化による医療の担い手の減少などにより、医師のさらなる負担増が予想されるなか、医療の質・安全の確保や、持続可能な医療提供体制を維持していくうえで、医師が健康に働き続けられる環境を整備する重要性が高まっている。こうした背景から国は医師の働き方改革に力を入れている。

徳洲会グループは21年7月に「医師の働き方改革WT(ワーキングチーム)」を設置し、本格的に取り組みをスタート。湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の亀井徹正総長が委員長を務める。22年10月には亀井総長をリーダーとする「医師の労働時間規制分科会」、落合亮一・医療法人徳洲会顧問をリーダーとする「タスクシフト/シェア分科会」を設置し、医師の労働時間適正化などに向けたプロジェクトを進めてきた。

亀井総長は「米国では03年に研修医の労働時間制限が強化されました。医療事故の減少や医療安全への寄与、研修医の健康管理の改善などが目的です。21年にカリフォルニア州の大学病院が1~3年目の内科研修医を対象に行った調査では、労働時間に関する自己申告の内容と、電子カルテへのアクセス記録をもとにして算出した労働時間は、ほぼ同等という結果が出ています」と説明。

続けて「徳洲会も現状は、医師の労働時間測定方法はタイムカードによる自己申告が主な方法であり、これは簡便である一方、打刻忘れなどもあります。そこで正確性を期すため、米国の事例をヒントに、電子カルテのアクセス情報を用いて労働時間を算出するシステムの開発を計画しています。電子カルテはログインが必要であり、本人でなければアクセスできませんし、客観的なデータとして使うことができます」と狙いを明かす。

計画では、研修医による電子カルテへのアクセス情報を用いて労働時間を推定し、現在用いているタイムカード(紙、IDカード、ビーコン=Bluetoothの電波を発信する機器)の打刻情報から得られた労働時間と照合し、より正確な労働時間を算出する。打刻した時間以前・以降にアクセスがあった場合、時間外勤務(カルテ記載やオーダー入力など)であるのか、それとも自己研鑽(学術活動など目的とした記載記録・データ閲覧のみ)のためか判断する。

「利用内容から診療行為か自己研鑽かについては、ある程度の推測が可能です」(亀井総長)。電子カルテ使用後のログオフ忘れに対するルールや対応策など講じて進めていく。当初は4~5病院程度の参加を想定しているが、臨床意思決定支援システム(CDSS)委員会、法人執行理事会での承認は得ており、準備が整い次第、開始する見とおし。期間は24年12月末までを計画している。

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